現代にダンジョンが存在する世界へ転生し、主人公が手に入れたのはTRPGを思わせる特殊なシステム。
ところが能力値は悲しくなるほど低く、何をするにもダイスの出目が付きまとう。
この作品で面白いのは、数字を上げれば何でも解決するわけではないところです。
どれだけ成功率を高めても、最後に結果を決めるのはダイス。
順調に進んでいたはずが、一度のファンブルから状況が崩れたり、逆に敵側の失敗に救われたりと、「次に何が起こるか分からない」というTRPGらしい楽しさが、そのまま物語になっています。
さらに特徴的なのが「理性」の存在。
ダンジョンで経験する出来事によって少しずつ削られ、主人公自身の考え方まで危うくなっていくので、HPとは別方向の怖さがあります。
一方、主人公の語り口はかなり軽快。
低い能力値や理不尽な出目に文句を言いながら、その状況すら利用して前へ進んでいく姿が楽しく、戦闘中でもテンポよく読めました。
強敵だけではなく、成功率99%の向こう側に残った1%まで敵になる。
「サイコロの出目に人生を左右される」というタイトルを、そのままゲーム性と物語の面白さにした現代ダンジョン作品です。