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 十四時までダラダラと漫画を読み、自分の部屋へ戻る。

 パソコンを起動して、ゲームの準備を始めた。

 一ヶ月前までは、のほほんと日常を過ごす『スローライフゲーム』の類にハマっていたが、今は対戦ゲームにハマっている。相手を全滅させれば勝ちという、シンプルなルール。


 物陰に隠れながら、敵を探す。中型銃のスコープを覗き込み、黄金色の草原へ焦点を合わせる。


 「お、いた」


  敵がこっちに気づく様子はない。頭に照準を合わせる。


 ヒュン…ドッ


 見事命中したようで、敵は額から血を流しながら、その場に倒れた。

 直後、画面にBGMと共に、『YOU WIN‼︎』と言う文字が浮かぶ。

 どうやら、あいつが最後の敵チームの生き残りだったらしい。味方から送られてくる賞賛のメッセージに適当に返事をする。何度か瞬きをして、疲れ切った目を休ませた。


 「…って、もうこんな時間か」


 机の上に置いてあるデジタル時計を見ると、時刻は二十二時。

 お腹がすいた。涼平の作ってくれた夜ご飯でも食べよう。

 ゲーミングチェアから立ち上がり、凝り固まった肩や腰を伸ばしながら、キッチンへ向かう。

 冷蔵庫を開けたら、料理がある…はずだった。


 「あれ?なんもない…しゃーない、作るか」


 涼音特製、我が家卵焼きのレシピ。

 材料は、卵、牛乳、ケチャップ、マヨネーズ、醤油。


 「不器用マンの私が、唯一味にこだわって作れるもの……卵焼きぃ!」


 ボウルに割り入れた卵に、五百円玉くらいの量の牛乳、ケチャップ、マヨネーズと、醤油を数滴入れる。混ぜ合わせると、綺麗な黄色が、少し茶色の混ざった黄土色になった。今は汚く見えるが、焼けばいい感じになる。

 フライパンを取り出し、中火にかける。熱くなったら、サラダ油をまんべんなく広げ、ニンニクを小さじ一、投入する。


 ジュッ…パチッ


 「あっち!?にんにく跳ねんなよ〜!」


 腕に乗ったニンニクを摘まみ、口へ放り込む。

 フライパンを傾け、油とニンニクを全体に広げる。ニンニクの香りが強くなってきたら、卵液を流し込む。


 「全体に広げるように…焼き色がつく前にまとめる!」


 綺麗に形が整ったら、お皿に卵を移した。冷蔵庫から麦茶のペットボトルを取り出し、机の上に置く。スプーンで卵焼きをすくい、口へ運んだ。


 「んふ、うま〜!…てか、嘘つかれた?冷蔵庫になんもないっつーの!」


 ガチャッ


 愚痴をこぼした、そのときだった。玄関の扉が開く音がした。涼平が帰ってきたのだ。


 「あ、涼平!冷蔵庫なんもなかったけど!?」


 「え?あるでしょ下の方に」


 ソファに座りかけていた涼平が立ち上がり、私を連れてキッチンへ。冷蔵庫を開けて、下段を漁り始めた。


 「ほら、あるじゃん」


 涼平が取り出したのは、ラップのかかったカレーだった。


 「いいじゃん。ちゃんと『料理』したんでしょ?」


 卵を作る前に、涼平へ連絡しておけばよかった。そうすれば、わざわざ自分で料理する必要なかったのに。


 「カレー食べたかった…そーだ、今日どこ行ってたの?」


 ソファに座り、スマホをいじろうとしていた涼平が手を止めた。


 「打ち上げだよ。個人で優勝したから行くって言ったでしょ?」


 「そうだっけ。おめでと〜!やっぱ私の弟は誇らしいな〜!」


 「ちょっと!もう子供じゃないんだからそんなわしゃわしゃしないで!」


 涼平の頭を犬でも撫でるようにわしゃわしゃと撫でると、嫌がってそうだったけど、あれは満更でもないことを私は知っている。


 ピコンッ


 そのとき、ポケットに入れていたスマホが鳴った。


 『あと三分で初戦始まります!急いで〜!!』


 ゲーム仲間からのお誘いDMだった。どうやら、ゲームの深夜の部が始まるらしい。


 「やば、ゲーム始まるわ」


 食卓の電気もつけっぱなしで、私は急ぎ足で部屋に戻った。

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