54話 兄弟の決着


電光が交錯する中、玉座の間の入り口から、乾いた拍手が響いた。


「いやはや、兄弟喧嘩とは、実に見苦しい」


現れたのは、全世界政府の礼服を纏ったブライダルだった。


「ボルテック様。あと少しで、この国はあなたのものになるというのに」


「――てめえ」


マークが、その声に振り返った。


「お前が、ブライダルか」


「いかにも」


ブライダルは、余裕の笑みを崩さなかった。


「この状況を、お楽しみいただければ――」


***


「――黙れよ」


マークの拳が、言葉の途中でブライダルの顔面に叩き込まれた。


「がっ……!?」


不意を突かれ、ブライダルの体が壁まで吹き飛ぶ。


「兄弟の問題に首突っ込んで、嘲笑ってんじゃねえぞ」


「な、何を……! 貴様に、何の関係が――」


「関係あるかどうかは、こっちが決める」


マークは、拳を鳴らしながら、ゆっくりと歩み寄った。


「ビビットの国をめちゃくちゃにしようとしてる奴を、黙って見てられるかよ」


***


「イズマ、グレン、そっちは頼んだ」


「言われなくても」


「勝手にしろ」


背後で、ビビットとボルテックの戦いが激しさを増していく気配がした。だが、マークは目の前のブライダルだけに集中していた。


「――こしゃくな」


ブライダルが、懐から小型の武器を取り出した。


「全世界政府の力、思い知らせてやる」


「上等だ」


マークは、拳を構え直した。


***


一方、玉座の間の中央では――


ビビットとボルテックの電撃が、幾度もぶつかり合っていた。


「なぜだ……! なぜ、お前ばかりが……!」


ボルテックが、力任せに電撃を放つ。


「父上の期待も、この国も……全部、お前が持っていくのか!」


「――違う」


ビビットは、真っ向からそれを受け止めながら答えた。


「俺は、何も持っていきたくなんてなかった」


***


「お前は、王座が欲しかった」


ビビットの声に、静かな哀しみが滲んだ。


「俺は、ただ……マークと、旅を続けたかっただけだ」


「――ふざけるな!」


ボルテックの電撃が、一層激しさを増す。


「それなのに、選ばれたのは、お前だ! 俺じゃない!」


「だから、お前は間違えたんだ」


ビビットが、静かに拳を握った。


「王座が欲しいと願うほど、父上が恐れていた通りの男に、なっていった」


***


「うるさい! うるさい、うるさい!!」


ボルテックが、渾身の電撃を放った。


「これで、終わりにしてやる!」


ビビットは、その一撃を真っ向から受け止めた。


「――終わらせるのは、お前じゃない」


体の奥から、これまでにない力が湧き上がってくる。


父の想いを、今、確かに受け継いだ力だった。


「うおおおおおおおっ!!」


ビビットの電撃が、ボルテックの電撃を押し返した。


***


「な、なんだ、この力は……!」


ボルテックが、驚愕の声を上げた。


「終わりだ、ボルテック」


渾身の一撃が、ボルテックの体を貫いた。


バチィィィィンッ!!


轟音とともに、ボルテックの体が崩れ落ちる。


「……なぜだ……」


倒れながら、ボルテックは呟いた。


「なぜ、俺は……選ばれなかった……」


「――お前が、選ばなかったからだ」


ビビットは、静かにそう告げた。


「父上を、国民を、そして……自分自身を、信じることを」


***


一方、マークもまた、ブライダルとの決着をつけていた。


「がっ……! こんな、はずでは……!」


「終わりだ」


渾身の一撃が、ブライダルの体を打ち抜いた。


崩れ落ちるブライダルを見下ろしながら、マークは静かに拳を下ろした。


「ビビット……」


振り返ると、勝敗を決したビビットの姿があった。


その目には、複雑な感情が浮かんでいた。悲しみと、決意と――そして、確かな覚悟が。


「……終わったな」


マークが、静かに歩み寄った。

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