23話 乱入

同じ頃、マークとビビットは王宮の周辺を探っていた。


「なんか、騒がしくなってきたな」


「ああ。広場の方から、悲鳴が聞こえた」


二人が城壁沿いを進んでいると、不意に――内側から凄まじい衝撃が響いた。


ドゴォォォンッ!!


「な、なんだ!?」


壁が内側から吹き飛び、瓦礫が飛び散る。


「うおっ!?」


咄嗟に飛び退いたマークの目の前に――氷の銃を構えたイズマと、拳を構えたブグンの姿が現れた。


「イズマ……!?」


「な――お前、この間の泥棒野郎!」


イズマも驚いた顔でマークを見た。


「お前……なんでここに」


「そりゃこっちの台詞だ! てめえ、ファントマのクリスタル奪っておいて――」


「話は後だ!」


イズマの声を遮るように、ブグンが動いた。


「邪魔者が増えたところで、関係ねえ」


***


ブグンの拳が、まっすぐイズマへと迫る。


「くっ……!」


イズマが銃を構え直そうとした、その瞬間――


「――待たせたな!」


横合いから、マークが割り込んだ。


ドゴンッ!!


拳と拳がぶつかり合う。轟音とともに、二人の体が同時に弾かれた。


「な……」


ブグンが、驚いたようにマークを見た。


「お前、力自慢か」


「よく言われる」


マークはニヤリと笑った。


***


「マーク! なにやってんの!」


背後から、ビビットの声が響いた。


「イズマ、お前はもう行け!」


マークが叫んだ。


「――は?」


「こいつは俺が相手する! お前は先、行けよ!」


イズマは一瞬、戸惑うように立ち止まった。


「……なんで、俺を助ける」


「助けてねえよ、ただ――」


マークは、拳を構え直しながら言った。


「こいつをぶっ飛ばしてえだけだ」


その言葉に、イズマは僅かに目を細めた。


「……勝手にしろ」


短く言うと、マイルの背に飛び乗り、王宮の奥へと駆け去っていった。


***


「行かせていいのか、あいつを」


ブグンが、拳を鳴らしながら問うた。


「別にいい。あいつには、あいつの目的があるんだろ」


マークは、拳を構え直した。


「俺には、俺の相手をしてくれる奴がいるからな」


「……面白ぇ」


ブグンの目に、初めて好戦的な光が宿った。


「怪力自慢のお前と、正面から殴り合うのも悪くねえ」


「ビビット、下がってろ」


「マーク……」


「大丈夫だ」


マークは、拳を握りしめながら不敵に笑った。


「この十年、こういう時のために鍛えてきたんだ」


ブグンが、地を蹴った。


拳と拳が、再び正面から激突した。

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