非常に面白い歴史短編でした📖
本作の魅力は、有名な歴史事件をそのまま描いていないところです🏯
主役となるのは長篠でもなく⚔️
甲州征伐でもなく⚔️
本能寺でもありません🔥
物語の中心にあるのは「岩村城」です🏯
一見すると地方の城の相続問題に見える出来事が、やがて武田家と織田家の衝突へ発展していく流れが非常に興味深かったです📜
特に前半の勝頼の視点が秀逸でした✨
歴史作品では失敗した後継者として描かれることも多い勝頼ですが⚔️
本作ではむしろ理性的で現実的な人物として描かれています🤔
織田との同盟関係🤝
上杉との外交📨
北条との関係🏯
それらを冷静に分析しながら父の暴走を止めようとする姿が印象的でした✨
一方の信玄もまた魅力的です🦅
彼は感情で動いているようでいて、戦略的な計算も持っています⚔️
それゆえに親子の議論が非常に読み応えのあるものになっていました📚
そして後半です🎭
ここから一気に作品の色合いが変わります✨
岩村城事件の裏で動いていた人物として登場する明智光秀🦅
彼の視点から見ることで、それまでの出来事が別の意味を帯び始めます📜
歴史の裏側を覗いているような感覚があり、とてもワクワクしました😊
そしてラストの光秀の場面が印象深いです🔥
甲州征伐の達成🏯
信長への思い🦅
岩村城への執着⚔️
それらが積み重なった先に待つ本能寺の変を読者だけが知っているため、静かな不穏さが漂います🌙
歴史の結末を知っているからこそ味わえる余韻でした✨
ドラマ・映画における長篠の戦いは、だだっ広い野原にて、あの有名な馬防柵とパパーン!の鉄砲隊が武田軍の猛将を無情に撃ち倒す。
史実の決着現場は窪地の「設楽原」、地形に変化のある湿地帯だ。
旗指物を立てて鬼の形相で迫りくる武田騎馬隊。
鉄砲隊は、馬ごと突っ込んでくる武者を前に、恐怖で顔を引き攣らせながら撃ちに撃つ。
記録によれば、一柵目、二柵目、三柵目まで、ど根性でニ十騎ほどは、突破してきたそうだ。
しかしこれは織田・徳川の罠で、「武田さん、こっちこっち!」と馬防柵に引き付けておきながら、実際には別動隊として潜んでいた兵が武田軍を襲った、ということになっている。
時間差攻撃を可能にした鉄砲三段撃ちが実はなかったとか、「馬防柵」は信長ではなく家康の命令で、柵の設置は戦場において少しも珍しいものではなかったとか、長篠の戦いを劇的に飾る小道具は後世の演出であって、本当のところはどうだったか分からない。
分かっているのは、武田軍は圧倒的に不利であったということだ。
織田・徳川軍、その数、倍以上。
長篠城側からも兵が寄せれば挟み撃ちにされてしまう。
しかし連戦連勝を重ねていた勝頼は、撤退の進言を退ける。
気鋭の騎馬隊で押して押しておしまくれば何とかなるという、戦国二百三高地大作戦。
戦いは長時間に及び、武田方も劣勢のわりには粘ったが、結果は設楽原から敗退していく勝頼をまもり、「お先に川を渡られませい」と何人もの名臣が順繰りに命を落とす大敗退。
この戦いにて信玄から引き継いだ勇猛果敢の精兵をごっそり失う。
こちらの掌編は、歴史に名高いその長篠の戦の前日譚にあたる。
いったい何故そんなことになったのか。
織田と武田を繋いでいた岩村城城主、遠山景任が、病没したからである。
城主の死後、織田家はすかさず要衝岩村城を獲る。この織田の裏切りに裏切りで返したものの、武田家は信玄が急死。
後を任された勝頼だが、味方に裏切られる末路も含めて、彼には同情の余地がある。
いきなり後継に繰り上がった庶子が名門武田家を背負い、四方を敵に囲まれて、精一杯やったのだ。
地方でのんびり過ごすはずの男が、都政を任されるようなものだろう。
大敗を喫した長篠合戦の後も数年もちこたえ、外交手腕できわどい局面を乗り切った勝頼は、無能ではなかった。
それにしても激怒した信長によって磔にされる、おつや。岩村城内の者を助けたくば武田に下れと大軍に迫られた彼女にあの時、他にどんな選択肢があったのか。
それとも、駒のようにしてあちらこちらに動かされ、山城に閉じ込められた彼女の胸中にあったのは、昔見かけた「大うつけ」のままの、信を置けない信長の姿だったのかもしれない。