児童文学作家のときありえさんは、「ファンタジー」の語源について、
「ギリシャ語のファンタスマ[存在しないものを存在させる意識の働き]からきている」と紹介しています。
本作「海渡るスズメ」では、「やや荒れた広大な海の真ん中に石の柱」が立ち、
そこに座す「私」と、通りすがりに私を発見した「スズメ」の対話から物語が始まります。本来あり得ないやり取りの中で、やがて明らかになっていくのは・・・・・・・。
借り物の言葉ばかり着こんでくるようで大変恐縮なのですが、ときありえさんは、
子どもが縦横無尽に「ファンタジー」を遊ぶ姿に、驚嘆しています。
同じようにといっては誤りとなりますが、私は本作で作者様が生み出した、
確固たる「ファンタジー」の姿に、心を打たれました。
人の生み出す信念を、ときには美しく、尊く、また困難に思えばこそ。
私たちは踏み出すならまた覚悟を問われ、そしてなお道が続いていくのです。
けれど同時に、私たちはいとも簡単に忘れ、心に封じてしまうこともできる。
それでも、解き放つこともできるのです。彼方へと向かって。
「ファンタジー」がもたらす光。
私は本作から、それを教えてもらったと感じています。