【BL】明日も雨天を請う〜冷徹部長の歪んだ独占欲〜
藍椋みぃる
第1話 不順な雨、秘め事の部屋
壁に掛けられた時計は、七時三十分をさしていた。
夕刻の激しい雷雨のせいで、社内の大半の人間は帰路を急ぐか、あるいはすでに帰宅していた。薄暗いクリエイティブルームの奥にある、防音性の高い第四会議室に重なり合う二つの影。
「……んっ、部長、だめ……、です……。ここ会社、です」
瀬名は、デスクに半分腰かけた状態で、上司である織田からの強引な抱擁を受け止めていた。
織田は瀬名から少し離れると、熱の篭った目で瀬名を見ながら、シャツのボタンを容赦なく外していく。
普段は冷徹で完璧な仕事ぶりを見せる部長が、二人きりになった瞬間、飢えた獣のような目で瀬名を見下ろし、小さく舌なめずりをする。
「……ダメじゃないだろ?誰もいないし来ないんだ……。それとも、誰かに見られたいのか?」
「ちが、……っ」
否定しようと開いた唇は、すぐに熱い質量で完全に塞がれた。強引に舌を差し込まれ、口内のすべてを
瀬名の頭はあっという間に真っ白になる。織田の大きな手が瀬名の細い腰を掴み、再び強引に引き寄せた。スラックス越しでもわかる、お互いの昂った熱い衝動がぴったりと重なり合う。
「今日、営業の馬場と親しげに話していたな」
織田の低い声が、瀬名の耳元で甘くそして芯を疼かせるように響く。耳たぶを強く噛まれ、瀬名は小さく悲鳴をあげブルリと身体を震わせた。
「あれは……、っ、ただの業務連絡で……」
「あいつ、お前の腰に手を回そうとしていたんだぞ?気づいていなかったのか?それとも、気づいてて放置か?」
織田の指先が、瀬名の首筋から腹部へ、ゆっくりと艶めかしく肌をなぞり、下がっていく。スラックスのベルトが外される金属音が、やけに大きく響き瀬名の意識はその先に向いていた。
「お前は鈍すぎる。……だから、俺のものだと刻み込まないと安心できない」
外されたベルト。下ろされたスラックス──。織田の指が、背後に回り瀬名の最奥を容赦なく攻め立てる。まだ準備も整っていないはずの場所。しかし、そこは簡単に織田の指を誘い込み、瀬名は声を上げて織田の肩にすがりついた。織田は瀬名の涙を優しく舐めとりながらも、その動きの手を緩めない。一本、二本と増える指が、瀬名の中の甘い拠点を執拗に抉り、圧迫する。
「……あっ、そこ……っ。んっ、おだ、さん……っ!」
「可愛い声。もっと鳴け、瀬名。俺だけを感じて、もっと聞かせろ」
限界まで解され絶頂寸前だった瀬名は、突如抜かれた指に荒い息と涙目で、織田を見やった。
「……フッ。そんな顔で見るな。ちゃんと最後まで……な」
織田は瀬名に口付けを交わしながら、自身の衣服を緩めた。そして、逃げ場のない密室で、瀬名のすべてを強引に暴き、その身を深く深く貫いていく。
「……っ、あっ……!」
息が詰まるほどの圧倒的な質量と、引き裂かれるような熱。しかしそれ以上に、自身すべてを織田で満たされているという強烈な快感が、瀬名の理性を完全に吹き飛ばす。
デスクが激しく揺れ、書類が床に散らばる。織田は瀬名の身体をさらに深く囲い込み、容赦なくその欲望を叩きつけた。激しい雨音に紛れるように、二人の甘く切ない吐息が会議室に響き渡る。
「……お前は、俺だけのものだ。……返事は?」
「……っ、んぁっ!……おだ、さっ……の、っぁ、です……!っ、んっぁ!」
激しい攻突の末、ふたりは互いの境界線が溶け出すほどの熱に侵され、重なり合ったまま荒い息を吐きだした。
──数十分後。
何事もなかったかのように身なりを整えた二人の姿が、オフィスの廊下にあった。瀬名はシャツの襟を不自然に一番上まで留め、きっちりとネクタイを締め窮屈そうに眉を顰めていた。
「瀬名くん、お疲れ様。明日も、よろしく頼むよ」
いつもの冷徹な上司の顔に戻った織田が、通りがかった他部署の社員の前で、事務的に声をかけつつも、他者からは死角になるギリギリのラインで、瀬名の腰の曲線を不躾になぞる。
「……ぁ、はい……」
瀬名は赤くなった顔を隠しもせず、キッと織田を睨みつける。しかし、織田には通用しなかった。歩く瀬名の耳元で、織田は甘さと色気たっぷりに、誰にも聞こえない声で囁いた。
「……明日も、雨降るといいな」
冷たい雨の夜。瀬名の身体は、いまだに上司の熱で芯まで満たされたままだった。
【BL】明日も雨天を請う〜冷徹部長の歪んだ独占欲〜 藍椋みぃる @black-phantom
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