東洋風の世界観で、身を削りながら国を守ろうとする巫女の主人公と、自分の出生や血に葛藤する護衛騎士が魅力的な作品でした。
お互いに想いがあるのに、勘違いですれ違ってしまう場面が何度もあり、読んでいてXでも有名な
「ああもうじれってぇな
やらしい雰囲気にしてやるぜ」
が何度も頭に浮かびました(笑)。
二人の出会いから、どうして相手を大切に思うようになったのかまで丁寧に描かれているので、じれったいながらも二人の関係を追っていくのが楽しかったです。
最後にはちゃんと想いが通じ合い、二人のやり取りも一歩深くなったところまで読めて満足でした。
同じ世界観で、別の国を舞台にしたお話も書かれているとのことなので、そちらもまた読んでみたいと思いました。
おなじみ精霊四氏族の世界。今回の舞台は火の国です。
代表作『水の国の物語〜揺らぎの果てに未来を拓く〜』の主要人物であるザハル王も王子として名前のみ登場しますので、『水の国の物語~』より数年から十数年前のお話でしょうか。
さて、本作の主人公を務めるのは『毒吸い巫女』のメルエトと夜色の髪をもつ騎士ナハト。
火の国の宿痾たる瘴気――人の悪意が具現したものを浄化する大役を担う巫女と護衛騎士には、守り守られる以上のある秘密の関係があります。
それは巫女自身に蓄積された瘴気を、護衛騎士は自らの身体で以て浄化するというものです。
ところがこのメルエトとナハトの間には、いまだそのような交わりはありません。
それは互いを思う気持ちの強さ故。そして互いの勘違いとすれ違いによるものなのですが……。
◇
作者・三木さくら様による精霊四氏族ワールドの過去作においてはどうしても主人公の立場の重さによる柵が多く、なかなか自由な恋愛に踏み出せない描写が多くありましたが、本作においては比較的(役目はあれど)奔放な恋が許される立場のふたりが主人公となります。
ところがところが。
思い込みの強いふたりはなかなか一歩の距離を詰めることができません。
むむむ……!
先に申しておきましょう。
かなりヤキモキさせられます。
しかし、本作はそのヤキモキを楽しむ作品だと、多くの方にお勧めしたいと思います。
精霊四氏族ワールドをよくご存じの方にも、そうでない方にも。
おすすめ致します。
ぜひ。