概要
死体の彼女は天使だったのか。それとも、名前を奪われた被害者だったのか。
一ヶ月前、湖で死んだはずの少女が、今も町の中で目撃される。県警の刑事・神崎透が赴任した湖月町では、天使と呼ばれた少女・白石美月の死を、住民全員がほとんど同じ言葉で悼んでいた。だが証言は揃いすぎ、記録は書き換わり、真相へ近づくたび透自身の記憶まで削れていく。やがて透は、この町では死者について語られた言葉が記憶を上書きし、事実の形まで変えてしまうと知る。鍵を握るのは、十五年前に湖畔で消えた少女、七人の証言者、そして“白石美月”という名前の下へ沈められた別の人生。真実とは何かではない。最後まで、誰かの名前を正しく呼べるか。湖に語れば、思い出は現実になる。ならば、語られなかった名前は、誰のものだったのか。
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