#16 夕立

 #16 夕立






 雨が降ってきた。



 ……久しぶりの雨だ。


 前降ってたのいつだっけか。



 忘れたな。




 …なんというか、すごく個人的な話なんだが、俺は雨が少し苦手だ。



 理由は、隣で幼馴染が雨に濡れてたりすると、めっちゃ困るからだ。



 まさに今みたいな状況のことだ。




 今日は特に理由もなく、真白と街をぶらぶらしていたんだが。




 横目で真白をちらりと見てみると、


 雨で服が肌に張り付いていた。



 取り敢えず、俺が着てた上着を肩の上からかけてあげたけど、なんというか、いたたまれない気持ちになってしまった。




「……夕立だね」



 そんな事は気にしてない、とばかりの真白の表情だけど、なんとなく、いつもより頬が赤いような、……気もする。



「真白、寒くないか」


「ううん、別に?大丈夫」




 いくら真夏と言えど、流石に濡れていると寒くなることもある。


 俺達は取り敢えず、店の軒下で雨宿りすることにした。





 ……ああ、わかった。



 俺が、雨を苦手になった理由。



 なんとなく、雨に降られている真白は寒そうな気がするんだ。



 それは、肌も髪も真っ白で、華奢な身体だから、寒そうに思うのか。


 それとも、真白が寒がりで、雨に降られたら寒そうにしているからなのか。



 どちらなのかは、わからないけど。




 しばらく、無言の時間が続く。



 考え込む時間が増えるから、ほんとにやめて欲しいんだけどな。



 真白の口数があからさまに減るのも、なんとなく、雨が苦手な理由の一つなのかもしれない。




 雨の音は、意外と嫌いじゃないのに。






 しばらく待っていると、雨は止んだ。



「……止んだね」



 心なしか、いつもより少し静かめに、真白は笑う。


 綺麗な笑顔だな、と、美術品を見たみたいに、なんとなくそう思う。



「そうだな」


「……帰ろっか」



「ああ」








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