#11 映画

 #11 映画






「なぁ、真白。映画見ようぜ?」


「……うん?」



 いつも通り漫画を読みながら、ベッドで足をバタバタさせている真白にそうやって声をかけた。




 夏休みに映画を観るのは、俺達二人の毎年の行事だった。



 実のところ、真白と映画を観たのは中学二年生の頃が最後で、去年は全く観れていなかったけど。

 中学三年生になってからは、受験勉強で死ぬほど忙しかったからだ。



 だから久しぶりに、一緒に映画を観たかった。



「……まぁ、いいけど?」



 了承を取れたから、早速、DVDプレイヤーにDVDを挿入する。



「今日の映画は、『たんぽぽと群青』な」


「……うん」




 部屋の電気を消し、テレビの前で三角座りしている真白の横に座る。


 すると真白は、絶対駄作だろ、っていう呆れ果てた目で見てくる。



 まぁ、確かに、ちょっと題名はアレだけど。俺も内容は知らないけど、多分きっと良い話、……の筈だろう。多分。



 あのよく見慣れた、東宝のオープニングが始まる。









 映画が終わった。



 二時間分の他人の時間が、エンドロールと共に、自分の中に染み込んできた気がした。


 まぁ、俺は途中から寝てたけど。




「……すごかったね」


「……ああ」


「僕、感動したよ。まさか悠仁が、こんなに面白い話を持ってくるなんてね」




 俺が見てたのは冒頭七分だけだ。



 あともう主人公の名前も忘れたから、何がなんだか分からない。

 多分、夏の疲れが出て寝てしまったんだと思う。


 昨日かき氷食べるために外出た以外に、夏の暑さを感じた記憶は……まぁ、エアコンの時とか?



 よくわからないけど、とりあえず、


「おお、すごいだろ?」


 と言っておく。



「うん」


「……うん」



「雄二は、どんなところが好きだった?」



 見てないのにわかるわけないじゃないか。



「…………」


「…………?」



「悠仁?」



「ん?なんだ?」



「寝てたよね?」


「寝てない」


「寝てたよね」


「いや、寝てないって」



 じぃっと見つめられる。


 青い目で、心の中まで見透かそうとするみたいに。


「……寝ました」



「ふぅーん。まぁ、良いけどね」





「じゃあ、もう一回観るか」


「え?」


「俺もちゃんと観たいし」





「……しょうがないな」




 申し訳なくなって、映画を観たあとにアイスをあげた。


 映画はそれなりに面白かった。


 途中で寝たけど。





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