勇者として召喚されたはずが、通訳としか思われていない件
無糖恋
第1章 主役になりたきゃ奪い取れ
第1話 リアルはチート、異世界では?
「皆さんには、私を処刑してもらいます!」
わけのわからない女が、わけのわからないことを言い出した。そして、俺たちは魔法を授かった。
さて、それでは語りましょうか、レオン=ユーリエフという男の冒険譚を___
「レオン君おはよ!」
「レオンおはよ!」
「レオン先輩!今日もかっこいいですね」
『道を歩けば歓声の嵐、今日も俺は誰よりもイケメンだ。イケメンは正義、それは、西暦3075年の今も変わらない真実だ』
男は、今日も自身に自惚れながら、教室に入り、席に座ります。そうして、チラチラと横の幼馴染からの挨拶を待っています。
「レオ、どうかした?」
「いや、何でもない。ただ、挨拶くらいしてもいいんじゃないか?」
「おはよう」
「ああ、おはよう」
『本当にすみれは変わり者だ。この俺が隣にいるというのに、自分からは特に何も話そうとせず、本ばかり読んでるし。まあ、流石に小学校からの付き合いで俺も慣れたが』
「すみれ、今夜、一緒にでかけないか?」
「今日?」
「ああ、そうだ。なにやら今日は流星群が見られるそうだからな」
「うーん私そんなに興味ないしな~」
「予定がないなら来た方がいいぞ」
「どうして?」
「この俺が一緒だからだ」
「でも、私たちいつも一緒だよ?」
『こいつには本当に調子を崩される。女子を誘う理由なんて一つしかないだろ!馬鹿!』
「それで、来るのか?来ないのか?」
「じゃあ行こうかな、暇だし」
そして、時間は過ぎ、二人は人気の少ない丘で、流星が降るのを待っています。
「レオってほんとすごいね」
「は?何がだ?」
「今の時代に自然溢れるこんな場所知ってるの」
「すみれ、お前は本当に変だな。そこら辺に環境保全のための自然公園がいくつもあるだろ?」
「あれは自然に見せかけた人工物だから。でもここは、人の手がほとんど加えられてない場所…だと思うから」
「そんなに違うもんか?」
「全然違うよ」
『すみれは昔から変なことに拘ったり、拘らなかったりする。こいつの生態を理解するにはあと何年かかることやら』
「お!見ろすみれ!」
男は、立ち上がり、空に光る軌跡を指さし、子どものようにはしゃぎます。女はそれにあまり興味はなく、ゆっくりと腰を上げて、立ち、男の顔を見た後に夜空を見上げました。
「わあ、すごいね」
「感想のレベルが小学生だな。読書家ならもっと文学的に言ってくれ」
「めんどうだからやだ~」
「はあ、ほんとお前は…」
男と女の掛け合いの最中、光が方向を変えました。そして、二人目掛けて星が屑を撒き散らしながら突撃してきました。
「はっ!?すみれ!危ない!」
「え?」
そして、二人は光に飲まれ、目を覚ますと、知らない古屋に横たわっていました。そこはみすぼらしい場所でしたが、謎のポーションや虫の入ったガラス瓶など、普通とはかけ離れた場所であることが見て取れます。
「いてて…って!すみれは!?」
男は周囲を見渡して、女を探します。
「すみれ!すみれ!」
「う~んうるさいよ~レオ」
灯台下暗しと言うべきでしょうか、女は男のすぐ傍で眠っていました。
「すみれ!大丈夫か!?」
「うん、私は大丈夫だよ。それよりレオの方こそ大丈夫なの?」
「当たり前だ。この俺だぞ?」
「そうは言うけど、ここにいる人たちの中で目覚めるのが一番遅かったのはレオだよ?」
「え~まじ?」
「まじ」
『いやいや!普通、横で倒れてたやつが自分より先に目覚めてるとは思わんだろ!てかどんな精神してたらこの状況で寝られるんだよ』
「てか、すみれ、ここにいる人たちって言ったよな?俺ら以外にもいるのか?」
「あ、うん。他に三人もいたよ」
『他に三人も…というより、ここに五人しかいなかったと言った方が良いだろう。ここはどこだ?そもそも、あれって流星が落ちてきたってことだよな。何で生きてるんだ?』
男は思考を巡らせましたが、まだ目覚めたばかりで、上手く頭が回っていないようです。すると、一人の男性の声が聞こえました。
「あ、すみれさん、昼寝はもう終わったんですか?」
「うん、終わったよ」
「あ、それと、こっちの子も目覚めたんだね」
女と話している大男は、男の顔を見てどこか不慣れな笑みを浮かべました。
『なんか、どっかで見たことある顔だけど思い出せないな』
「あの、初めまして、レオン=ユーリエフです」
「あ、はい。こちらこそ初めまして、彰仁と言います」
男たちは握手をしました。寝ていた男はそのまま立ち上がり、また、思考の海を泳いでいるようです。
『あきひと…あきひと…って!もしかして皇族の彰仁様か!?確かにテレビで見たときはこんな顔だった気がする』
「あの、彰仁さんってもしかして皇族だったりしますか?」
「あ、えと、そうだね。一応」
『てか、すみれさっきため口だったよな。もしかして知らないのか?まあ、あいつなら知っててもため口かもしれないが』
男が考えていると、他の者たちも集まり、その場には5人の老若男女が集まりました。
『あ、これで全員か。残りの二人はパッと見外国人だな。男の方は大学生くらいか。まあまあのイケメンだが、俺にはまだ届かないな。女子の方は…結構幼いな、年下か?』
「Also, du bist dran.」
「は?え?なんて?」
「О, так ты наконец встал.」
「え?だからなんて?」
『や、やばい何言ってるかほとんどわからん。英語ではなさそうだし、どうやってコミュニケーション取るんだこれ』
「レオ、この人たち日本語喋れないみたいだから、彰仁さんに通訳してもらって」
「え?彰仁様わかるんすか!?」
「ま、まあ、一応ね。二人とも、目が覚めたんだねーって言ってるよ」
そうして五人が集まった時、声がしました。
「ああ、やっと揃ったのですね。可愛い可愛い勇者たちよ」
『日本語だ。でも、あの外国人二人もなんだか言葉を理解しているように見えるし、なんだ?』
「あなたたちは祝福を得たのです!」
そうして五人の前に、魔女が現れました。
「初めまして勇者たちよ!私の名はペルミリア。最悪の魔女と呼ばれた死刑囚です!」
『おいおい、よくわからんこと言った女がよくわからん恰好で現れたぞ。なんだあの魔女みたいな恰好』
「わ!すごい、魔女みたい」
「みたいではなく、魔女ですよ!橘すみれさん!」
「私の名前知ってるんだ」
「はい、ここにいる皆さんの名前を知っています」
『なんですみれはこんな変なやつと普通に喋れてるんだよ!』
男は自身の幼馴染にドン引きをしながら、その状況を理解しようと観察を始めます。
「ペルミリアさんが私たちをここに連れてきたの?」
「いいえ、正確には私が生み出したこの星たちです」
魔女はそう言い、輝く星を宙に浮かせました。
「わあ!すっごい綺麗!」
「流石すみれさん!お目が高いですね!」
『色々わからないことだらけだけど、このまますみれのペースに持っていかれたらもっとカオスになるな』
男は魔女の正面に移動して、疑問をぶつけました。
「なあ、ペルミリア?だっけか、俺たちは何でここにいるかもわからないだ。色々説明してくれないか?」
「そうですね!では、まず皆さんがここに来た理由をお教えします!それは…」
魔女は下手なドラムロームをしました。そのおかしな光景にその場にいた人間たちはどこか冷たい視線を向けています。そして魔女は語るのです。
「皆さんには、私を処刑してもらいます!」
「は?」
「これから皆さんに魔法を授けるので…」
「いやいや、ちょっと待てよ!処刑ってどういうことだよ?」
「そのままの意味です。私は大罪を犯して死刑囚になったのですが、誰も私を殺せないので、皆さんに殺してもらおうということです」
「ますます意味がわからん…どういうことだよ?」
「まあ、詳しいことは後で話しますよ!まずは皆さんに魔法を授けます!」
「魔法?」
「ええ、そうです!」
そう言って魔女は星を5人に飛ばしました。星は5人の前で砕け、星屑になり、魔法を授けたのです。
「はーいそれでは皆さん魔法を授かったようなので、それぞれの魔法が書かれたこの紙を読んでください!」
そう言い、魔女は紙を上空にばら撒きました。その紙たちは空を舞ってヒラヒラと落ちながら、人間たちの手元にたどり着きました。
「はあ、ほんとわけのわからないことばかり言いやがって」
『でも、魔法とかちょっと漫画みたいでいいよな。あいつの言ってることが本当かどうか知らんけど。えーとどれどれ俺の魔法は…』
「は?」
男が得たのは、会話魔法。その効果は、【誰とでも意思の疎通が取れる】というものです。それ以外には何もできない魔法なので、この時の男はショックを受けていました。
『おいおいなんだよこれ!?魔法ってなんかこう炎を扱えるとかじゃねーの!?』
男は自身の魔法に絶望したが、この先、もっと深い絶望が男を襲いました。なんせ、他の四人の魔法は…
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