どうして雨だと言ったんだろう?
なー
どうして雨だと言ったんだろう?
どうして雨だなんて言ったんだろう。
空を見上げることもせずに。
他に言葉が思いつかなかっただけなのかもしれない。
嘘だと否定すればよかったのに、どうして肯定してしまったのか。
今になって自問自答しても、その理由は思い出せない。
人間は、本当に悲しくなると思考が止まる。
頭のどこかがプツンと切れたように、ただぼんやりしてしまう。
あの日の夜も、僕は涙のことさえ忘れて、急に掌を広げながら君にそっと呟いた。
どんな些細な理由を探したって、僕たちはあのまま別れなくてもよかったはずなのに。
それなのに僕は、君に何ひとつ言い訳さえしなかった。
なぜだか、心が感じたものをそのまま言葉にしていた。
降り出した雨の雫に、どこか似ていた。
もし違う言葉を言えていたら、まだ君はすぐそばにいたのかもしれない。
雨なんて降っていないと、きっと笑っていた。
きっと、心の歯車がどこかで狂ってしまった。
自分の感情を抑えきれず、ネジが飛んだみたい。
もっと器用に何か言えていたら、結果は違っていたのかもしれない。
僕はこの腕で君を抱きしめて、愛を語っていたはず。
あの日、テレビで気象予報士が言っていた。
今日は夜空の星が、いつもよりずっときれいだと。
だから僕は、その景色を君にちゃんと見せてあげたかった。
勝手に雨が降ってきた。
僕の眼差しの中に。
あんなに晴れた夜なのに、ザーザーと音がしていた。
空を見上げればよかったのに、どうして僕たちは見つめ合ったままで、あんなふうにはぐらかしてしまったんだろう。
今でも意味がわからない。
自分の気持ちをごまかして、愛しさを隠そうとしても、思いも寄らない言葉がふいにこぼれてしまう。
一つだと思っていた僕たちは、いつの間にか心だけが離れてしまったのだろうか。
どうして雨だと言ったんだろう? なー @nanako46
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