本作は、『言葉の代行屋』という一風変わったサービスをしているお店のお話です。
この社会において、色んな代行サービスがあります。家事代行、運転代行、買い物代行、退職代行……ここで死神代行と入れたいところですが、この場所は笑いを取る場所ではないので抑えます(抑えれてないやん)。
さて、本作の代行は、『言葉』。
いったい何をしてくれるのか?
文章生成?
翻訳?
そんなものはAIにさせれば良いのです。ストーリーラインのとおり、言われた通りの言葉を代わりに送信する代行でもありません。そんなものは、自動送信機能を使えば良いのですから。
本作の代行はきっと、AIには代行できない代行でしょう。
文章の感じ、内容の組み立て方、筆圧……「雰囲気」「空気」を読み取るに相応しい情報から、依頼人が本当に欲しい結果を導く言葉や言葉の送り方を検討し、実行する。興味深いサービスです。
(何言ってるのかわからん、という方。それはぜひ、直接ご確認ください)
そして本作は、そんな言葉の代行が「既読だけつけさせてほしい」のような依頼を受けます。
既読。最近はLINEよりInstagramを使うとかなんとか聞きますから、若い方だと馴染みのない方もいらっしゃるのでしょうか。IT企業の会社員ならかなりの確率でTeams使ってるので、なじみ深いと思うのですが、そのメッセージを見たら「見られましたよ」と送り主に知らせてくれる機能のことです。
そして
既読が付かないこと=読まれていない(未読無視あるいは未検知)
既読がついたのに返信がないこと=既読無視(見たけど返信する気がない、あるいは返信する余裕がない)
会社での既読無視・未読無視は業務に滞りが出るので別の話ですが、本作の依頼人は私的な理由で既読機能のあるチャットアプリケーションを付けている方なのでしょう。
上だけの紹介だと、ミステリー?現代ドラマとか現代ファンタジーじゃないの?となるかもしれません。
本作は、お店ものであると同時に、手紙の謎(=本音)を読み解くミステリーみたいな側面があり、そちらがメインです。ミステリー部分に触れてしまうとネタバレになるので伏せているだけです。ご安心を。
言葉の代行屋が、依頼文をどのように読み取り、依頼を遂行するのか。
本当の願いを叶えるため主人公たちはどのように言葉を代行するのか。
お勧めです。
未読の方はぜひお手に取って、上に記した内容の答えを確かめてみてください。