失恋を描いている体裁だが「記憶から逃れられない人間」を描いている散文だと感じた。
恋愛そのものよりも忘れたいのに忘れられない心理の反復が主題のような気がした。高校生らしい率直さが伝わってくる。
特に印象に残ったのが
>あのロマンチックを中学最後の年に経験したことは僕の宝であり負債である。
という一文。
「宝」と「負債」を並べることで、幸せだった思い出が同時に人生の重荷にもなっているという矛盾を、短い言葉で表現している。この作品全体を象徴する一節だと思った。
この作品には飾ろうとしない誠実さがある。
忘却を望みながら、その思い出だけは「宝」と認めてしまう。その自己矛盾を真正面から書いたことに、この散文の価値がある。
まるで自分の心を解剖するように書かれたからこそ、多くの人が一度は経験する「過去に縛られる苦しみ」と重なる作品だった。
高校生の作品。
単純にすごいなあ、と。