推敲の基準

わたしは推敲の基準は三つだと考えている。

「おもしろくなるか」

「わかりやすくなるか」

「売れるか」

ただどうも出版社には四つ目の基準が存在するようで、むしろこれのためなら上三つは犠牲にしたっていいと思っている節がある。

それは「出版社にふさわしいかどうか」だ。


好意的に理解するならこれはゾーニングだ。極論青い鳥文庫でフランス書院文庫みたいな内容は出せない。

ただまあ、そんな単純なものではなく、これはあくまでわたしの印象だが、出版社としてのプライドのようなものを強く感じた。


「これは小説です」という言葉を何度も言われた。小説だから小説っぽい表現をしなければいけないらしい。そしてそれによって面白さやわかりやすさが犠牲になっても仕方ないらしい。

いったいエンタメとはなんなのか。わたしは幅広い人々に訴求できて、時代とともに内容も表現も柔軟に変化する、大衆の消費物足るものがエンタメだと理解している。


ネット小説っぽかったり脚本ぽかったりしても、多くの人が手に取りやすい形が一番なのではないか。少なくともわたしは一部の小説オタクが楽しめる「THE小説」のような作品なんかはじめから作ってない。むしろ普段小説を読まない人にどうやって手に取ってもらうかを考えて書いている。(これはなんとなく商業的理由も関係ありそうだが…)


もちろん出版社の要望に最大限こたえるのがプロフェッショナルだという考え方もある。事実わたしもそのように動いていた。

ただこれでは当該受賞作品の良さは伝わらない。

挙げ句の果てには前述した通り「あなたの書きたいものがわからない」だ。


わたしの書きたいものは明確に決まっている。

小説っぽくないものだ。

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