主人公の「ぼく」は、夏休みのあいだ、町のさまざまな場所を訪れ、絵日記を描き続けている。しかし、観察する風景には毎日のように「わずかな異変」が現れる。日々の風景が「同じ向きの草」「細くなる影」「薄くなる色」「小さくなる音」といった微細な異変として積み重なり、世界そのものが静かに劣化・収縮していくような不安が漂ってくる。子どもの素直な語り口が、異常の輪郭を逆に際立たせる巧みな構成です。淡々とした日記形式が恐怖を徐々に増幅させていきます。