正しさとは何か、何を信じて生きるべきか。
本作の主人公である利央の境遇を紐解いていくと、何度もその問いが頭に浮かぶことになります。
京国とリヒト国との戦いが一時終結し、平和が訪れたかに見えていたラギ大陸。しかし敗戦国となっていたリヒト側では不満がくすぶり続け、やがては火種となっていった。
京国の王子の一人でありながら冷遇されていた利央は、自身の出生にまつわる問題や、リヒト側の兵士を部隊に多く持つ状況なども影響し、次第に祖国ではなくリヒト側に傾倒していくことになる。
そうしてやがて、彼の前には決定的となる「出会い」が訪れて。
従うべきは血筋なのか。それとも生まれなのか。
なんのために戦い、誰のために生きるべきか。
勝利とは、敗北とは。この戦いの中で彼は何を失って、何を得るか。そうして彼が掴み取る答えとは。
圧倒的なジレンマや閉塞感に苛まれ続けた利央の生き様。勝利や敗北や生死すらも超越し、彼が見る一つの風景。
極限の先の極限だか見える、そんな「悟り」や「祈り」にも通ずるような境地。
「戦い」という形の中だからこそ描き出せるそんな「真理」を描き抜いた、熾烈な手触りを持つ一作でした。