『城鯱大学怪異相談室』シリーズ紹介文
欠席した学生が、教室で返事をした。
死ななかった学生が、事故現場で死んでいる。
城鯱大学には、警察にも学生課にも持ち込めない相談を引き受ける、小さな《怪異相談室》がある。
相談役は、黒ずくめの女性探偵・黒猫堂ナナメ。
彼女には、人には見えないものが見える。
ただし――見えるからといって、答えまで分かるわけではない。
一方、言葉の使われ方や噂の広がりを読み解く大学院生・瀬尾綴は、何千字もの論文を書くくせに、大事なひと言ほど口にするのが苦手だ。
そんな少し不器用な2人のもとへ持ち込まれるのは、
出席していない授業で返事をする学生。
写真にだけ残る、知らない同級生。
人ひとりが通れない隙間を歩く《薄い人》。
誰もいないのに狭くなっていく学生食堂。
水の中に立つ、人間の形をした空洞。
そして、生きている学生へ届く――自分自身の追悼式の案内。
怪異は見える。証拠も残る。
けれど、だからといって怪異を犯人にしていいとは限らない。
ナナメが守るのは、たった1つの原則だ。
「怪異が見えるからこそ、怪異のせいにしない。」
騒がしくて、くだらなくて、やたらとお菓子が集まり、昼休みには相談とは関係のない学生まで居座る怪異相談室。そこでナナメと綴、そして癖の強い学生たちは、笑いながら怪異へ首を突っ込み、ときには本当に死にかけながら、「何が起きたのか」をひとつずつ確かめていく。
やがて彼女たちが向き合うのは、幽霊よりも奇妙なものだった。
忘れられた人。
消された記録。
そして――起きなかったはずの出来事。
誰も死んでいない事故現場に、“死に方”だけが残る。
シリーズが進むほど、大学の日常そのもの――教室、図書館、学食、研究施設、講堂――が怪異の舞台となり、学生たちは「ありえないものを見る恐怖」から、「ありえないものによって現実の事故が起きる恐怖」へ追い込まれていく。
それでも、この物語の中心にいるのは怪異ではない。
怖くても友達の手を離さない学生。
撮ることより助けることを選ぶ映像学生。
勝手に物語を作られる誰かを守ろうとする広報学生。
分からないからこそ確認する人。
記録する前に、相手の意思を確かめようとする人。
そして、「分からない」と言えるようになっていく2人の女性。
大学生活の楽しさと抱腹絶倒の掛け合いのすぐ隣に、逃げ場のない怪異がいる。
笑っていたはずなのに、気づけば怖い。
怖かったはずなのに、またこの怪異相談室へ帰ってきたくなる。
『城鯱大学怪異相談室』は、
大学青春コメディ×怪奇ミステリー×パニックホラーで描く、
「人と怪異のどちらにも、やっていないことの責任を負わせない」異色のキャンパス怪異シリーズ。
この大学では、欠席しても出席できる。
死ななくても、死者になれる。
――あなたなら、《怪異相談室》の扉を開けますか。
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