読んでいて、身悶えしたくなる短編です。いやあ、良いですね。ちりんちりんと鳴る風鈴の音に見守られながら、恋人ではない男女が缶チューハイを飲んだり飲まなかったり。シチュエーションや台詞回し、あえて結論を書かないストーリー。何をとってもキュンキュンさせられます。未読の方はぜひ、この(作者様の言葉を借りて)じれキュンを味わってみてください。お勧めです。
夏の夜、風鈴を口実に会いに来た「私」。今日こそ告白する——けれど、缶ビールを開けて飲んでしまう前に言わなきゃ、と思うほど言葉は出てこない。気持ちを一度も直接書いていないのに、ちゃんと伝わってくる。勢いよく引くプルタブ、へたったソファ、窓辺で鳴る風鈴——ささやかな仕草と小道具だけで、「言えない」が全部届く。そして最後の一行で、景色がくるっと変わります。読み終えて、もう一度頭から読みたくなるお話でした。