音声を書き起こしただけの、簡素な取材記録。
そんな体裁だからこそ、そこに記された異常さが、作り話ではなく本当に残されていた記録のように迫ってきます。
取材相手の赤井さんに連れられ、山中の神社へ向かう新人記者・星野さん。
穏やかだったはずの会話は、雑木林に並ぶ無数のお地蔵様を前に、突如として意味を変えます。
「ちゃんとつれてきました」
「代わりを、連れてきましたよ」
赤井さんは何から逃れたかったのか。
なぜ泣きながら、誰かに許しを乞うているのか。
すべてを説明しないからこそ、言葉の背後にある怪異を想像してしまい、赤井さんの「もう、いやなんですよぉ」という悲痛な声が、読後も耳に残ります。
さらに恐ろしいのは、この取材記録を残した人物が、最後に私たちへ語りかけてくること。
「この記事以外にも、わたしが集めた編集部の記録があります。」
その一文を読んだ瞬間、この怪談は一話で終わる物語ではなく、まだ続いている「記録」の一部だったのだと気づかされます。
淡々とした記録の隙間から、説明のつかない恐怖がじわじわと染み出してくる一編。
どうか皆様も、最後まで読んでください。
——おねがいします。