Dive.12【脳彗軍VS政府軍……! そして、最悪の再開へ……】
いよいよ、出撃当日になった。
今回出撃する機体は、市豪のプラネーテスИ、
「オペレーションマニュアル確認!」
「装備及び性能試験問題ねぇ!!!」
「全エネルギー出力、以上ありません」
「全機体、発進用意完了!」
運命の時が、刻一刻と迫っている。市豪は初めて手に入れた専用機との初陣に、不安を過らせながらも覚悟に身体が火照っていた。取り着けたヘッドギアが電子音を奏で、脳波を計測しているのが分かる。
〔市豪ォ! この戦闘で全て片付けるぞ!〕
「あぁやろう。酒田……! みんなも、今回で必ず終わらせよう!」
インカムからは、パイロットたちの士気高まる応答が聞こえてくる。
酒田は景気付けに缶チューハイを一本空け、剣先は四谷とのツーショットに口付けをし、可下郎は念のためもう一度装備や出力をチェックしていた。
「……プラネーテス、お前の準備はいいか?」
市豪は操縦レバーを撫でながら、機体に囁いた。
〔・-・ ・- 〕
機体からは何も言わないが、それでも市豪には充分、声は届いていた。
そして、遂にその時がやってきた。
「軍事境界線内に熱源体反応確認! ニューロイドと思われます!」
観測ルームから声が聞こえる。ついに、日本政府軍が姿を現したのだ。
「よし…………! 第3行動班遊撃隊! 発進!」
市豪の合図により、第3行動班の隊員を乗せた7機は出撃した。
---「
「……来たか!」
敵機を見つけて真っ先に進んだのは、酒田のサイロ・シンだった。
〔市豪ォ! 聞こえるか!〕
「何だ酒田!」
〔俺と九条が左右の木っ端を先に相手する! お前はあのデカブツを狙え!〕
「待て酒田! ここは一度まとめて動くぞ! そこから変則移動で翻弄させる!」
〔……だそうだ! 行くぞオメェらぁぁぁぁぁぁぁぁあ!〕
市豪のプラネーテスИを先頭に、他の6機たちもあとに続いて大きく旋回した。
政府軍はこの行動に理解が追い付かず、反応に困っていた。
「……大佐、あの動きは何なんですかね?」
「航空ショーじゃねぇんだぞ……? バカなのか? 誰が指揮を執っていやがる」
「いかがいたしましょう……?」
「撃ち落とせ。先手必勝だ。所詮戦場も知らないガキだ」
角館の指揮のもと、政府軍の機体は一斉掃射を試みた。しかしその弾丸の雨も市豪が立てた事前の作戦で見事に躱されていく。変則的な移動に、弾丸は意味をなさなかった。
「よし……! 酒田! 九条さん! 深瀬さん! 今だ!」
「よっしゃ────ァ! 突っ込めぇぇぇぇぇぇぇぇえ!」
「ニューロイドの扱いは私が長けている。助太刀しよう」
酒田が狙ったのは、以前取り逃がした亡咳と威漸波の量産機たち。酒田が猪突猛進の勢いで突っ込みつつ、九条と深瀬の連携で次々に敵機を撃破していく。酒田のワイヤーフックも上手く生きており、敵機の自由を奪いつつ、九条と深瀬が砲撃する。
「日本政府もこの程度か……少し離れている間に落としたものだな!」
「この声は……深瀬かァ!」
「角館! 屍の上で食って来た飯は美味かったか!?」
「そりゃあもう絶品だったね! 次は貴様の
次々に撃破してく中、角館の乗る威漸波が深瀬のリゼルグLへとビームを飛ばす。深瀬は超回避するも、そう一筋縄ではいかない。
威漸波は弐式を撃ち落とした例の高出力マイクロ波を射出し、深瀬のリゼルグの体勢を崩した。
「ハーッハハハハハ! どうだ深瀬ェ! 戦場で〝
「やるな……! 威漸波! だが……私のリゼルグの前では無力だ!」
深瀬はリゼルグを大きく上昇させ、コックピット上部に搭載されたレバーを押し込んだ。すると天上から二本の青黒いケーブルが伸び、それを深瀬の両手首に装着されたデバイスに接続した。
すると機体と脳神経の接続値はそれまでの100%を超えて150%となり、深瀬の身体はより機体とリンクした。
「
「何……ィ!?」
そして次の瞬間……深瀬はハンドルを手放すと、そのまま腕部のスラスターだけの推進力のみで威漸波に近付き、その頭部を完全に粉砕した。威漸波の頭部は粉々に砕け、その衝撃でヘッドギアはショートし、角館の脳に強烈な痛みが生じた。
「ぐぬぁぁぁぁぁぁああああ!? 深瀬……ッ! 貴様ァ! 何をした!!!」
「頭部を完全に踏み潰してやった。これで物理的にお先真っ暗だな」
「貴様ぁぁぁぁあああ!」
「あの時、貴様が私にしてきたことの意趣返しだ。もっとも、貴様は何のことだか思い出すことはしないだろうがな」
「ぐぬぬぬぬぬ……
角館は最後の悪足掻きと言うべきか、見えない中で威漸波の腕部を大きく振りかざし、リゼルグを撃破しようと試みた。だが、それはもう意味を成さない。万全の状態のリゼルグを前には、もはやそこで踊っているのと同じだった。
「権力を座布団に
「深瀬……深瀬エェェェェ!!!」
その断末魔を最期に、角館征哉は、深瀬の駆るリゼルグのエネルギー光線によって、まるで花火のように散っていった。
それと同じ頃には、彼を盲信していた部下たちとその機体が、酒田と九条によって撃墜された。
「すげぇ……! これが深瀬さんの力……!」
〔市豪、剣先! こちら六波羅。三時の方向に援軍を確認した。私と可下郎が対応する。お前と剣先は目の前のニューロイドを相手にしろ!〕
「了解!」
〔六波羅、可下郎、頼んだ!〕
市豪と剣先は、目の前で待ち構えている屛束と八咫烏に向かって進んだ。
まず最初に対峙したのは、市豪のプラネーテスИと、彼の友人である高梨鞠菜の駆る【屛束 零号型】……だが、この時まだ市豪は、屛束のパイロットが高梨であることは知らない。
「あれは……弐式さんをヤッた機体!」
〔市豪! 私はあの兵器を相手にする! お前はそのニューロイドをやれ!〕
「はい!!!」
市豪のプラネーテスИはバックパックに装備された熱帯ナイフを持ち、屛束に向かおうとした。だが……その時だった。
突如屛束は右手を開き構えると、得体の知れない電波を飛ばした。すると市豪の脳は激しく揺さぶられるような、激しい違和感と刺激に襲われた。
何が何だか分からない仕掛けを前に、声だけが彼の耳に届いた。
「……何でお前がここにいるんだよ」
「………………え?」
その声を聞いた市豪は、思わず我が耳を疑った。そして、恐る恐る屛束のパイロットへ通信を試みた。
応答を訊いた時……市豪は……凍り付いた。
「
「た…………
【屛束 零号型】に乗り込んでいる、黒いパイロットスーツに銀のヘッドギア、そして機械的なモールドをしたゴーグルを取り着けた青年……。
市豪と共に大学で時間を共にし、彼の身を最後まで案じていた、高梨鞠菜だった。
それは二人にとって、夢にも見なかった最悪の再開だった……。
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