薬師のビビが家に戻ると、瀕死の男が座り込んでいた。年のころは四十くらいだろうか。危険を伴う治療の後、彼が取り出したのはビビの師匠からの手紙で――かくして、万能薬を調合し、ビビが自由を手に入れるための旅が始まる。
旅。それは冒険。走り出す運命!
教会から異端者扱いされ、薬師として搾取されているビビは、小さな森に、そして退屈と孤独に閉じ込められたまま一生を終えるはずでした。でも、ハンターという運命が転がり込んできたことで、世界が動き出します。
彼女にとって、森から出て異端者扱いされずに生きることは夢物語。万能薬だっておとぎ話。だけど、ハンターはビビのことを異端者扱いせず、外へと連れ出してくれたし、万能薬に必要なものだってハッキリ提示してくれたのです。
違う人間が同じことをしても、ビビはついていかなかったでしょう。覚悟を決める前に走り出せたのは、手を差し伸べたのがハンターだったからです。
この人と一緒にいれば大丈夫。そんなふうに思わせる力が、ハンターにはあります。それは彼のもつ余裕であったり、思いやりであったり。出会った人々に対しても、対峙した危機に対しても、身のこなしが鮮やかなところであったり。そういった数々の魅力が溢れ出しているからなのでしょう。
そんなハンターに守られながら、ビビは世界の広さを初体験していきます。でも彼女だって、守られるばかりではありません。頑固で天然っぽいところやちゃっかりしたところもあり、薬師としての知識・技術・矜持もある彼女は、ハンターに言い返したり、寄り添ったり、時に大胆になったり、翻弄したりすることだってあります。二人の関係は保護者と弱者ではなく、対等で、バディとも呼べる支え合う関係であり、信頼や愛情に満ちているのです。
コンテスト応募のため、第一章までの公開となっていますが、実はこちらの作品、すでに完結しております。全編版にお進みいただくことですぐに続きを読むことができますので、気になった方はラストまで駆け抜けちゃいましょう!
何度読んでも夢中になれる作品です。全編読了した私が一章版も読んで、こうしてレビュー(※このレビューは「一章版」を読んでのレビューです)も書いているのだから間違いないです。
すべての方にオススメ!
【レビューコンテスト応募】
森で孤独に暮らしていた薬師のビビの元に、死にかけのハンターが訪れる……。
【MFブックス】イケオジ小説コンテスト【中編】参加作品となります。
様々な「イケオジ」を読まれて食傷気味な読者様に、特にお勧め致します。
僕は思うのですが、こちらの物語は夜に森の中で焚火をしているような、そんな心細くて力強い、相反する不思議な空気感を纏っている気がします。
小説とは様々な側面を持ち、主に「静」と「動」。ざっくり言えば「心理」と「行動」。
この二つをどれだけ巧みに組み合わせ、絡め合わせてテーマに導くかが「一つのポイント」となります。静かなだけだとつまらないし、騒がしいだけでも駄目です。緩急があり、そこに理由が存在し、行動は驚きをもって物語に誘う。そんな小説が好きです。
さて、本作はとても丁寧な心理描写を主軸に、ヒロイン「ビビ」とイケオジ「ハンター」の交流を描きます。この二人の個性はテンプレではなく、一見カクヨム小説を隙間時間でサクサク読まれている読者様は、「ん?」となられるかもしれません。
それがいいのです。
今は夏休み、日頃の暇つぶしに最適な小説を読んだ時に疑問に感じる「物足りなさ」、なんとなく「時間を溶かすだけ」が嫌になった瞬間、そんな感覚をこちらの作品は受け止め、しっかりと埋めてくれます。
夏の読書というのは「自分のヨムスキル」を何故か向上させてくれるものです。これは理屈じゃなくてそういうモノです。読書好きというのは、熱い夏(暑いじゃない)に出逢える作品を探すものなのです( ー`дー´)キリッ
お勧め致します。
広大なカクヨムの小説世界で、否定はしませんがカップ麺みたいに似たり寄ったりで単純なカタルシスを売りにしている小説とは別に、この夏に自分のヨムの世界を広げてみたい皆様に最適かと思います。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)
【レビューコンテスト応募】