古猫は、十年で化け猫。二十年で猫又と成る。
手拭いを被って踊り、襖を開け閉めし、
そして
人語を解し、また話すと言う。
不眠気味の女性の家にいる老猫は、実は猫又。
飼い主の為に、夜伽の怪談を語るのを
得意としていた。
扠、この怪猫の語る今宵の譚は
妖怪『油赤子』の怪談。
しかも江戸でも大正でもなく、時は
平成の世に起きた不思議で哀しい怪異譚だ。
世も平成となれば、民草の生活も変わる。
機密性の高いマンションのキッチンの
天麩羅油を揚げた後の、健康志向の菜種油を
狙ったのが…運の尽き。
怖い様な、可愛い様な。それでいて
哀しい様で温かな。
作者の見事な筆致に乗って、妖怪達が
息を吹き返して練り歩く。
きっと、今でも それ は。