小説家を志しながらも、十年間、公募に落ち続けた作家志望の青年・穂村久遠。ふとしたきっかけでカクヨムに投稿したホラー小説が異例の大ヒット! 念願の書籍化が決まり、ついに作家デビューを果たすことに。しかし穂村にとっての本当の「地獄」はここからだった……。
書籍化に喜ぶ穂村のもとに押し寄せる、修正と校正の嵐。さらにイラストレーターの選定や挿絵の確認、装丁のチェックなど、本業を抱える兼業作家の穂村に抱えきれないほどの作業が降りかかります。そんな苦難の数々があまりにもリアルで、思わず背筋が震えました。これはまさしく創作の世界を舞台にした「ホラー」です。
そんな穂村を支える編集者の桐島さんの仕事ぶりに惚れるんです。本のためなら恋も人生も擲つ桐島さんの情熱と覚悟には圧倒されます。ときに書籍化は作家と編集の二人三脚といわれます。どちらが欠けても本は完成しない。作家にとっても、編集にとっても、我が子のように愛おしい存在なのだと伝わってきます。
しかし二人で心血を注いで作り上げた一冊は、厳しい競争に埋もれて、まさかの打ち切り。無力感と喪失感から穂村は大スランプに陥り、ついにはストレスで倒れてしまう。果たして穂村は、作家を続けることができるのか。本気で作家を目指す人なら、いずれ誰もが向き合うことになる「夢と現実」を描いた物語です。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)