と或るホラー作家が打ち合わせの終わりに
編集者から仕入れた ハナシ は
身を挺して事故物件の一軒家に住み始めたと
いうものだった。勿論、そのテの話は大歓迎。
どんな怪談が聞けるのかと、期待に胸を
膨らませるのだが…。
毎晩、老人の咳が聞こえる。
借りた家は戸建てで庭や池もある。北側の
庭はそこそこ広く、柿の木まで生えている。
どうやら咳込みながら呟いている。
一体何事かと、夜中に咳が聞こえる庭に出て
正体を確かめてやろうとするが。
月に照らされた庭にある柿の木に。
まさに! King of horror
の名を恣にする作者の練り上げられ
小技を効かせた怪談の妙味。
単なる怪談では終わらない。
否、終わらせては貰えない 恐怖 が。
柿というのは、実は咳に効く漢方薬であると
聞いた事がある。さり気ない博覧強記も
付け加えておく。