本作は、タイトルが、その力強さを示すように、「犠牲を選ばない」という意思と想いが込められた世界の中で、それを体現する主人公の姿に熱くなる一作となります。
そんな主人公の見どころとしては、誰かを守るために誰かを切り捨てるような残酷な選択を拒み、全員で救われる未来を泥臭く手繰り寄せようとする「ひたむきさ」です。
読み手の年齢によりますが、人によっては、共感からの応援の感情が芽生えるでしょうし、また別の人からは、そのひきたむきさは「青臭さ」ととれ、瑞々しさを覚えるかもしれません。
ただ、「それでも」を言い続けて、自らの信念を貫こうとするのが、王道と言えるのかもしれません。
そんな王道で、魅せてくれるのが、本作です。
また、キャラクター以外の見どころとして、作品名、作者様の名前などに一貫した「水」の描写です。
テーマでもあるのか、「水」について、そのきらめきや流れ、清涼感といったディテールが五感に訴えかけるように美しくつづられている筆致で、神秘的な世界観を作り上げられています。
世界の理が求める残酷な「犠牲」を真っ向から拒絶し、大切な人と共に生きる未来を掴むため、力強い筆致で運命への反逆を描き出した王道ハイファンタジー。
ラノベ黎明期のような異世界へのイマジネーションを再び想起させてくれるような、そんな神秘性が好きな方、ハイファンタジー好きな方々へお薦めいたします。
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