空から落ちてきたんは、ただのお姫さんやない。強い光の力を持ちながら、自分自身の危なさには驚くほど無頓着な少女、シルヴィーンや。
そんな彼女を受け止めるんが、水の守護者レヴィン。静かで口数も少ない青年やけど、彼女が危険へ向かえば、気づけばその隣におる。止めるんやなく、進む意思はそのままに、届く危険だけを取り除いていくんよ。
神殿と魔術機関、各地に広がる異変、光と水の力――王道ファンタジーのわくわくする舞台がありながら、その真ん中にあるんは、強いのにどこか不器用な人らの距離感やと思う。
銀色の聖獣まで加わって、真剣な場面の中にふっと可笑しみが混ざる。この柔らかい空気が、物語へするっと入らせてくれるんよ。
■ 夏目先生――推薦文
この物語でまず目を引くのは、強い者たちが決して万能には見えないことです。
シルヴィーンさんは、人を守る力も、危険へ進む勇気も持っています。ところが、自分自身のこととなると、その危険をどうにも軽く扱ってしまう。周囲が心配していても、本人だけはなぜそれほど騒がれるのか、どこか腑に落ちていないように見えるのです。
ここに、彼女の愛嬌があります。
自分を犠牲にする人物というのは、ともすれば悲壮一辺倒になりがちです。しかし本作では、本人があまりに自然な顔で無茶をするため、周囲の方が困ってしまう。その食い違いには切実さがありながら、同時に少しばかり可笑しい。
真面目な人間ほど、ときに周囲を大いに困らせます。本人には困らせている自覚がないのですから、なお始末が悪い。しかし、そこが人間らしくもあります。
そして、そんなシルヴィーンさんの隣にいるレヴィンさんも、別の意味でたいへん不器用です。
彼は多くを語る人物ではありません。相手を力ずくで止めるのでもなく、立派な言葉で守ることを宣言するのでもない。ただ、必要なときにはもうそばにいる。
この距離感が実に心地よいのです。
光は前へ進み、水はその流れに寄り添う。二人の能力は戦闘のための設定であるだけでなく、それぞれの性格や関わり方まで静かに映しているように感じられます。
また、物語の面白さは二人だけで閉じておりません。
周囲の人物たちがシルヴィーンさんの言動に振り回されたり、呆れたり、それでも気に掛けていたりする。その反応があることで、彼女自身の人物像も自然に浮かび上がります。
とりわけ銀色の聖獣の存在は愉快です。
神秘的で由緒のありそうな存在でありながら、やることは実に猫らしい。人間たちが大真面目に世界の異変を語っている横で、猫だけは猫の都合で動いている。このくらいの余白があると、深刻な設定も息苦しくなりません。
本作には、これから大きな謎や重い選択へつながっていく気配があります。
けれど、わたくしが惹かれるのは、それと同じくらい、登場人物たちが互いをどう知っていくのかという部分です。
誰かを守ることは、その人の意思を奪うこととは限らない。反対に、相手の意思を尊重することが、ただ好きにさせることとも限らない。
この二人は、まだその答えを言葉にはしておりません。
だからこそ、行動の一つ一つが面白い。
強い者たちの活躍を楽しみながら、その強さの隙間から見える不器用さや、言葉になる前の気遣いまで味わいたい読者には、ぜひ薦めたい物語です。
■ ユキナ――推薦メッセージ
派手な魔術や世界の異変を追いかけたい人はもちろんやけど、ウチは「強い人らが少しずつ相手を気にするようになっていく話」が好きな人にも推したいな。
シルヴィーンとレヴィンは、まだ何もかも分かり合ってるわけやない。せやけど、言葉より先に動いてしまう瞬間や、周りから見たらちょっと困った不器用さが、少しずつ二人の距離を作ってるんよ。
重たいテーマの気配がありながら、人物らの可笑しみや猫の自由さがちゃんと息をさせてくれる。光と水がこれからどんな答えへ辿り着くんか、見届けたくなる作品やで。
ユキナと夏目先生(猫の縁側 ver.)
※ユキナおよび夏目先生は、GPT-5.6による仮想キャラクターです。
なお、自主企画の参加履歴を「読む承諾」の確認として扱っています。
最新話まで追いついたので書きます。
本作はあらすじを読んでいただければ分かる通りにハイファンタジーになります。それも、骨のある設定と世界観を伴った確かな「重さ」を有しています。
その中でも注目すべきは世界観ですね。
ネタバレを避けるために全容を書くことは叶いませんが、個人的には「魔術」の設定が良かったと思っています。普遍的なところに着地させず、設定を基礎から作っている点に好感を覚えました。
また、度々登場する「犠牲」という言葉も話を読み進めるごとに存在感を増していくのも印象的でしたね。こういったときの人間とはかなりリアルです。
次にキャラの個性ですね。
本作では光、炎、水、風、地の名を冠する国々が登場し、その国の代表者たちが議論するシーンが登場します。これが非常にインパクトがありました。
自分を勘定に入れない者、好戦的な者、混沌大好きな者、自己中、ビッグマウス、常識人……。
もうこれを読んでいたときは、非常に面白かったですね。『Fate/Zero』の問答のように個性的な面々が集い、自分をぶつけ合うというのは個人的にとても大好きなので、読んでいたときは面白過ぎて仕方がなかったです!!
まだまだ不穏さを増していく物語で、彼らはその中でどのような決断を下すのか……。
続きをしっかり追わせていただきます!!
本作は、タイトルが、その力強さを示すように、「犠牲を選ばない」という意思と想いが込められた世界の中で、それを体現する主人公の姿に熱くなる一作となります。
そんな主人公の見どころとしては、誰かを守るために誰かを切り捨てるような残酷な選択を拒み、全員で救われる未来を泥臭く手繰り寄せようとする「ひたむきさ」です。
読み手の年齢によりますが、人によっては、共感からの応援の感情が芽生えるでしょうし、また別の人からは、そのひきたむきさは「青臭さ」ととれ、瑞々しさを覚えるかもしれません。
ただ、「それでも」を言い続けて、自らの信念を貫こうとするのが、王道と言えるのかもしれません。
そんな王道で、魅せてくれるのが、本作です。
また、キャラクター以外の見どころとして、作品名、作者様の名前などに一貫した「水」の描写です。
テーマでもあるのか、「水」について、そのきらめきや流れ、清涼感といったディテールが五感に訴えかけるように美しくつづられている筆致で、神秘的な世界観を作り上げられています。
世界の理が求める残酷な「犠牲」を真っ向から拒絶し、大切な人と共に生きる未来を掴むため、力強い筆致で運命への反逆を描き出した王道ハイファンタジー。
ラノベ黎明期のような異世界へのイマジネーションを再び想起させてくれるような、そんな神秘性が好きな方、ハイファンタジー好きな方々へお薦めいたします。
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