※読了前のレビューになります。
意図しない深読みが混じったらすいません。
初見、いわゆるブルーロックライクの動的な話かと思いきや、どちらかと言うと文芸方面に進むので一瞬面食らいはします。が、シュートを打てない理由を説明で語るのではなく、足や手首の反応で見せることで、拓也の怖さや罪悪感が自然に伝わってきて、すぐに読み方が分かってきます。
スポーツ小説の常道である、勝つことよりも心理的な克服に重心が置かれているのは、この作品の特徴なのかと思います。
初めて打ったシュートが入らない場面は、成功ではなく逃げなかったことを成長として描いていて、この作品らしさが強調される、静かな熱さがありました。
亮、翔、美咲の関わり方もそれぞれ違っていて、それぞれの距離感が説明抜きに表現されているのは魅力的な部分だと思います。登場人物全員が拓也を救うためだけにいるのではなく、それぞれ傷を抱えている感じがして、物語に厚みを感じます。
拓哉、亮、翔の三人は幼馴染で中学最後の夏3on3の大会に出る、しかしその大会には拓也の友人だった健も出場するらしく…拓哉は過去のトラウマに苛まれることになる
このバスケットボールを文章で表現する表現方法が良かったです、淡々とした切れのいい文章で密度の高い試合風景を描く描写力、汗と足踏みの感触、バスケットボールが跳ねる音、全てがありありと一夏の青春を感じさせてくれました
また描写だけでなく主人公達の心の機微も短い話数ながらしっかり描写されていました(個人的には長編にしてもっと読みたかったくらいですが)、特に拓哉の抱えるトラウマとそれによる試合への負の影響、それだけでなく他の皆んなもそれぞれトラウマを抱えているのも良かったです
短いですがとても優れた作品だと思うので是非一度読んでみてほしい作品です!