第2話

〜 1年程前 〜


「ん?うわッ」


地面から1mほど空中に俺は放り出され、そして落下した。


「イツツ……どこだここ…」


開けた土地、周囲は木々に囲まれており、その中心には雲まで届いているのではないかと思えるほどの大木があった。


立ち上がると、何気なく中心の大木へと向かう。


近づくと根元より少し上の方に下半身と肘から先が木に埋め込まれた全裸の少女?がいた。顔は長い銀髪で隠れていてよく見えないが全体的に幼い印象を受ける。


「え?子供?だ、大丈夫?生きてる?」


するとその少女は首を傾げ、髪の毛の隙間から目を覗かせた。


「おやおや、こんな所に人間のガキが来るなんて珍しい」


「ガキって、君の方が幼く見えるけど?」


「フンッ、こう見えて私は……私は……はて、何歳だったかな……まぁお前よりは長生きしているよ」


「あ〜で君はそこで何してるのかな?そういうプレイなの?しかも全裸で」


「ぶち殺すぞクソガキ、見てわからんのか、封印されてるんだ、封印」


「ふーん、で名前は?」


「信じてないな?まあいい、聞いて驚け、私は魔女だ」


少女は嫌な笑みを浮かべる。


全裸で木に埋まって魔女ごっこ……いじめられているのだろうか……


少し優しい顔で少女の方を見た。


「はぁ、もういい、で、お前の名前は?」


「俺はアランだよ、よろしく、その髪の毛見づらいでしょ、結んであげるよ」


「あ?あ〜助かる」


少女の銀髪を後ろへと持っていく、すると綺麗な顔が姿を覗かせた。


「わーお凄いべっぴんさん」


「どうも、てなれてるな」


「妹がいるもんで」


そんな会話を挟みつ頭の後ろで髪を束ねお団子を作る。


「よし!完せー……ダメか」


「ん?」


「ほら前が丸見え」


長い髪で隠れていたがその髪を束ねてしまったことで少女の小さな膨らみが露になってしまう。


「ふん、今更人に見られたところで恥を感じる年齢でもないよ、それとも何か?欲情でもしたか?」


「いやいや、さすがに自分の妹よりも小さな子に欲情なんてしないよ、ていうかなんで裸なの?服は?」


「あのなぁ、少なくとも私はここに100年以上封印されてるんだ、服なんてとうに朽ちて無くなったわ」


「はいはい、じゃあ今だしてあげるからね」


そういうとアランは杖を取り出し少女に向けた。


「おい!バカッ!」


その瞬間、杖の先端からプラズマが発生し、アランは後ろに5m程吹き飛ばされてしまった。


「グハッ!?」


「おい大丈夫か?」


受身をとれたおかげか痛みはない。


「えっほんとに封印されてるの?」


「だからさっきから言ってるだろ」


「じぁあほんとに……魔女……なんですか?」


アランは顔を引き攣らせたが、


「なんで急に敬語になったんだお前、怖くなったのか?何を今更」


「それもそうですね」


すぐに表情を元に戻した。


「軽いなお前、もうちょっと怖がってくれてもいいんだぞ?」


「だって封印されてるんでしょ?怖がるも何も、ねぇ?」


「はぁ〜、まぁいい、で?お前は、、アランと言ったか?なんでこんな所にいるんだ?」


「あ〜実はさっきまで転移の実験をしてまして、ようやく円が作れたんで、試してみたんですけど、なぜかここに……」


「お前14かそこらだろ、凄いな、座標こそズレたとはいえ、その歳で実際に転移に成功するなんて、大した才能だ」


「へへ、それほどでも、はぁでもどうやって帰ろう…」


「教えてやろうか?転移」


「えっ、できるんですか?」


「舐めるな、何年生きてると思ってる、ただしひとつ条件がある」


「条件?」


「少し話し相手になれ、今までずーっと1人だったんだ、さすがに寂しい」


「え?」


「嫌か?」


「いや〜それはもちろんいいですけど、てっきり封印を解くのを手伝えとか、封印したヤツらに復讐しろとか、そんなこと言われると思ってました」


「ふん、この封印を解くには生きた人間の肉体がいる、つまるところ生贄だ、いやだろ?」


「あ〜」


「それに私を封印したやつなんてとうに死んでる、最初の頃は恨みもあったが、もう顔も覚えてないし、どうでもいい」


「……」


それから俺は魔女さんに今の外の世界の話をする、長いこと封印されていて俺の話が新鮮だったのか興味深く聞いていた。

そして魔女さんに転移の方法を教わった。単に円の書き方を伝えるのではなく、ちゃんと原理から説明してくれた。


「ありがとうございます魔女さん、なんと帰れそうです」


「ああ、たまには話し相手になりにここへ来てくれよ」


「ええ、必ず」


アランは地面に描いた円に魔力を込め、その場から姿を消した。


これが俺と魔女さんの出会いだ。

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