着物女子すみれは、人の心の声が聴こえるという特殊な能力を持つ大学生。
一見すると臆病だけど、本当は大胆で、真っ直ぐな自分を持っている女の子です。
実生活でも、すみれみたいに何かきっかけさえあれば、どんどん世界が拡がっていく……そんな若者っていますよね。
不器用だけど、真面目に生きてきたすみれに、ささやかなプレゼントみたいな出会いが訪れます。
仲間の女子大生の雰囲気が良いです。
ほのぼのとしていて、相手を思い合い、慈しみ、時には冗談交じりに語り合う。
すみれの特殊な悩みにも真摯に応える。
みな個性豊かで……やはり特に星乃先輩の雰囲気は素敵ですね。
いつまでも浸っていたいような優しい世界が……作者の悠井様の慈愛に満ちた想いを乗せて紡がれていきます。
これから、すみれはどのように感じ、どのような大人になっていくのでしょうか。
人と人との絆が結んでいく物語……ずっと、側で見守り続けていきたい作品です!
オススメですよ!
人の感情や思考が体温のように届いてしまう女子大生・蓮雀寺すみれ。
他人の心に圧倒され、人と距離を置いてきた彼女が、御朱印巡りの先輩・白鳥奈々子との出会いを皮切りに、個性豊かで温かな仲間たちと巡り合う現代ファンタジー×青春ドラマです。
本作の最大の魅力は、能力の痛烈なリアリティと、それを包み込む丁寧な人間描写にあります。
人の心が読めることは決して万能の特権ではなく、文脈や歴史を知らなければ時に刃にもなってしまう。
作者様が描くその葛藤と代償の重みは非常に真摯で、胸元の石の「熱さ」や「冷たさ」という五感を通じた表現の細やかさに引き込まれます。
特に印象に残るのが、中盤の競馬場での転換点です。
善意で動いたはずが他人の痛みに直面して深く傷つくすみれと、それを詮索せず丸ごと受け止め、手を引いてくれた仲間たちの温もり。
あらすじにある「人の心が聞こえても、その人のことを全部わかるわけじゃない」という言葉を思い出します。
そこから「察する」のではなく「言葉を交わして知る」努力へと歩み出し、自らの足で立つすみれの成長はとても健気で愛らしいです。
旅先の情景美、散りばめられた伝奇ミステリーの謎解き、そして何より不器用な五人が肩を並べて笑い合う姿が心地よい余韻を残します。
静かに心を温めてくれる、心からおすすめしたい名作です。
完結したら ” ロス ” 間違いなし!!
静かな小川のように、ほんの小さな一歩を紡いでいく物語
とても静かな物語です。
会話はたくさんあるのに、不思議なくらい「無音」に近い静けさの中で物語が流れていく。
誰かと話せた。
一人で出かけられた。
自分から隣を歩けた。
名前で呼んでもらえた。
誰かにとっては何でもない一歩が、誰かにとっては小さな冒険になる。
そんな、見落としてしまいそうな心の揺れをひとつひとつ掬い上げながら、物語は山あいを流れる小さな川のように、ゆっくりと先へ進んでいきます。
人の視線が気になったり、言葉を発したあとで「あれでよかったのかな」と考えてしまったり。
そんな人間だからでしょうか。
この静かな世界と、すみれの不器用で小さな一歩一歩が、なんとも心地よい。
まだ流れ始めたばかりの小さな川。
この流れがやがて誰と出会い、どんな景色へ辿り着くのか。
もう少し、この静かなせせらぎに耳を澄ませていたいと思います。
人の感情が聞こえてしまう少女・すみれが、少しずつ人との繋がりを取り戻していく姿が丁寧に描かれるといった印象の作品です。
能力を便利な力ではなく、苦しみや孤独の原因として描いているからこそ、誰かの気持ちに寄り添えた瞬間の心地よさが伝わります。
奈々子の静かな優しさ、ほのかの明るさ、そしてまだ掴みどころのない星乃。それぞれのキャラクターが持つ距離感が良く、四人で過ごす何気ない時間が魅力です。
神社や居酒屋、旅先での風景描写が丁寧で、読んでいると読み手もその空間を共有しているような感覚にもなります。
人の繋がりや居場所を丁寧に描いた、優しい雰囲気の作品です。
今後すみれが自分の力とどう向き合っていくのか、続きを楽しみにしています。