「あ、そうだ。築浅で、独立洗面台で、バス・トイレ別で。変な間取りでなければいいかなって」


速水さんの顔が若干固まった。

目がめっちゃ優しい。

口を真一文字にしてるのはなぜ?


「んん……少々お待ちください」


速水さんが立ち上がった。

おっ。これは。

何かプリントアウトしてる。

探せばあるんじゃん。

やっぱイケメンは仕事できるのね。


「こちら、いかがでしょう」

「うーん……徒歩8分。遠いなあ」

「自転車を使うという手もあるかと。駅までの間にスーパーとコンビニがございます」


自転車ねえ。ちょっと面倒だな。

やっぱなるべく駅に近い方がいいよね。


「他には?」

「こちら、即日入居可、オートロックもございます」

「でも1階かあ……」


オートロックがあっても1階じゃあねえ。


「あともう一件。こちら、2ヶ月後のご入居でしたら……」

「でも鍵複製されちゃって」

「失礼します、お客様」


速水さんのすぐ隣に、さっきまで難しい顔をしてPCのキーボードを叩いていた人が座った。

おお。こっちもイケメン。

イケメンというより最早麗しい。


「氷室と申します。お客様、現在のお住まいの鍵に、問題が……?」

「はい。元彼氏に鍵を複製されている可能性があって」

「お客様の条件をすべて満たすお部屋を、本日中にご紹介するのは難しいかもしれません。まずは、今のお住まいの鍵交換について、管理会社へ相談しましょう。連絡先は分かりますか。必要でしたら、ここで一緒に確認します」



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