怪我によってプレイヤーの道を絶たれたくるみが、二階の特等席からコートを俯瞰することで、自身が持つ「異常なまでの大局観と分析力」に自覚的になっていく過程が鮮やかです。
そして、競技プログラミングの怪物・水瀬詩織との邂逅。「数は、平気で嘘をつくよ」という冷徹な指摘によって、くるみが心の拠り所にしていた「パスを出していれば勝てていた」という1年前の後悔が揺るがされるシーンの緊迫感は鳥肌モノでした。
走れなくなった絶望の場所から、誰よりもコートの真実を見抜く「アナリスト」としての才能が覚醒していく対比が熱いです。黒部が「あんたは起きる前に見えてる」と恐怖すら覚えるほどのくるみの異質さが、スポーツ描写として非常に新しく、ワクワクさせられます。