偉大な《星詠の魔女》を祖母に持ちながら、初級魔法すら使えないアリア。
周囲から蔑まれながらも、祖母の魔導書を胸に故郷を旅立つ姿には、静かな強さが宿っている。
英雄になるためでも、世界を救うためでもなく、ただ自分の足で未来を選ぶための旅──
その控えめな目的が、かえって彼女の物語を温かく、深くしている。
占星術師として星を読み、世界の気配を感じ取ろうとするアリアの歩みは、派手さこそないが、ひとつひとつの出会いと経験が丁寧に積み重なっていく。
魔法が使えない少女が“星詠”として何を見つけるのか。
静かで優しい成長が心に残るファンタジー。
魔法使いなのに、まともに魔法を使えない少女アリア。
けれどこの物語の素敵なところは、そんな彼女が「実は誰よりも強かった」と証明して終わる物語ではないところだと思います。
祖母が残してくれた本。親友との時間。旅の途中で出会う人たち。そして、役に立たないと蔑まれてきた自分自身。
一つ一つの出会いを通して、アリアが「自分にしか出来ないこと」を見つけていく過程が、とても丁寧に描かれています。
特に好きなのは、かつて自分を傷つけた「リター」という言葉を、やがて彼女自身が誇りとして受け入れていくところ。
そして旅に出てからは、自分が誰かから受け取った優しさや「選択肢」を、今度は別の誰かへ渡していく。
強くなるだけではない。
人と出会うたびに少しずつ世界の見え方が変わり、自分のことも少しずつ好きになっていく。
星や魔法の美しい幻想世界の中で描かれる、とても静かで優しい成長の物語です。
アリアがこれからどんな星を見つけ、どんな人たちと出会うのか。
この旅をもう少し一緒に歩いてみたいと思いました。