電車と言うのは公共交通機関の中でも、
ちょっと特殊だと私は思っています。
比較的近い所を通るバスと違って、
電車は遠くにまで人を運び、
尚且つ並走する移動物が他になく、
車窓に映るのは移動しながらも固定された景色。
特に地下鉄ともなると、
景色はほぼ暗いままなので、
そこから外を見たところで映るのは
車内の様子だけなのですよね。
そこに映った自分の顔を見て
「ひぃっ! こんな老けちまったのか!」
と気づくのも、
ある意味ホラーではあるのですが、
こちらの作品はちょっと違う世界の者が
移りこんでいる様子。
ホラーホラーと言われますが、
実際人が「怖い」と感じるのは、
「いつもの」日常の
「変わりない」と思っていた
「安全」な場所から、ズレた時。
誰かに襲われるとか追いかけられるも
「いつもの変わらない安全」から
遠ざかるので怖いのでしょうが、
こちらの作品は、
そうしたホラーを確実に
あなたに届けてくれることでしょう。
ゾクリとして、
でもホラーが好きなんだよなぁと
思う方は
是非ご一読を。
あと、web小説を読んでいて
酷な話かもしれませんが、
ホラーに本気で出会いたいならば
スマホからちょっと顔をあげてみてください。
普段使っている電車の車両。
そこは
意外なまでに「ホラー」だらけなんですよ。
満員の地下鉄で、なぜかポツンと一つだけ空いている不自然な席。
誰もが本能的に避けるその場所に、トンネルの闇で「鏡」となった車窓からだけ、本を読み耽るメガネの女性が姿を現します。
日常の「あるある」から始まり、静かに、しかし確実に狂っていく車内の空気感がたまりません。
ただの幽霊譚ではなく、ラストで明かされる「女性が読んでいた本の内容」と、そこから一気に繋がる時間と空間のギミックには、思わずゾクッとさせられました。
1,500文字程度とさらりと読める短編ながら、読み終えた後は、いつもの通勤・通学電車が少し怖くなるような、極上の恐怖の余韻に浸れる一作です。
ホラー大好物な方にはぜひおすすめします!
窓みるの…こわい
電車で通勤または、通学をしている人間であるならば、
一度は経験したであろう経験。
かといって、なかなかその日の話題になるほどでもない、ちょっとした経験のくせに、
一度起きたら脳味噌にシミのようにこびりつく経験。
私も何度か体験したことがある。
満員度百%超えの電車で、なぜか空席があり、満員のことを考えるなら誰か座るべきなのだが、
どういうわけか誰も座らず、自分もまたなぜか座ろうと思ったことがない。
アレはどういうことなんだろう?
と、私も常々考えていた。
ジャパニーズ特有の、譲り合い探り合いの精神が複雑に絡んだ故の事かそれとも、
何か理由があるのか?
物語の舞台は、やはりそれが存在している車両の中。
しかし、ニノ前先生の手法は巧妙だ。
ホラーの真髄とは、読み手に想像をさせること。
この手は、この先生の特徴でもあり、もはや専売特許なのだろう。
何が言いたいかというと、謎を残して帰るのだ。
今回も、考えなければならない謎が多い。
そして、考えれば考えるほど、恐怖のドツボに、こちらが勝手にはまっていくのだ。
今回の話の流れはこうだ。
・誰も座らない席がある。
↓
・反対側の車窓には、女性が座っているのが見え、本を読んでいる。
↓
・事故発生
↓
・女と目が合う。
差し当たり、考えなければならない謎は主に、この女性の事だが、
・何を読んでいたのか?
と、
・彼女は何者なのか?
の二点だろう。
何を読んでいたのか? の中にも謎があり、
今回で言えば、
『小説というよりかは絵本に近い』らしい。
……なぜ、『絵』が書いてあるとわかったのだろう?
表紙がそれっぽかったのだろうか?
それとも、車窓に反射してある程度中身が読めるのだろうか?
もう一点、
彼女は何者なのか?
ともう一点、
『事故』との関係は?
***********
ここからはネタバレを含むので、読まれていない方はご反転ください。
自分なりに色々と考えてみたが、
やはり主人公とこの女性とでは、何か関係があった。
というのが、……まあ違うだろうが、なくはない線かと思った。
つまり主人公は女性が日常的に、図鑑だか絵本だかを読んでいるのを知っていた。
(女性が幼く見えるのは、他界されたのが子供で、生きていたら今頃大学生くらいだった?)
あまり、思い出したくない関係のようで、それでも意識の裏側に度々現れる。
例えば、誰も座らない席の向かいの車窓に。
……
例えば、電車ではなく、車に乗っていた。
幼い子は、平気で本を読みながら危険な道路を歩く。
ブレーキが間に合わず、事故を起こしてしまった……。
まあ、そんなわけがないだろうが、このように一つの書で深く考察できるのが、この先生のホラーである。
ご一読を。
二ノ前先生の作品に、外れは無いと、いつも言っていますが、
この作品も、読者の意表を鋭く突く作品です。
この小説に出てくる主人公は、一種の、未来を見ていた……。
これ以上書くとネタバレになりますので、書けませんが、
最後の最後で、全ての、怪奇現象が、物語の中で、回収されます。
最早、時間の逆転現象としか、言うしか有りません。
ですが、SFでも無くて。完全なホラー小説なのです。
ホラーであって、まるで、SF小説を読んだような、不思議な時間の流れです。
もう一度、言います。
実に不思議なホラー小説です。是非、御一読、してみて下さいね。