本作は、10年という歳月を経て再会したかつての友人との距離感に、ほろ苦さと、どこか切なくも懐かしい心地よさを感じることができる一作です。
作者様は、2人の間の繊細な空気感を丁寧に描くことが非常にうまく、謝罪やお互いの本音をストレートに口にしないからこそ伝わってくる想いを読み手は感じることができます。
2000字という限定環境において、無駄な状況説明を排し、注文カウンターでの短いやり取りや1人用の窓際席での静かな情景描写だけで10年間の空白を語る、作者様の卓越した構成力と筆致に驚くばかりです。
10年の空白を経て注文カウンターで偶然再会した2人の男が、かつて半分こした思い出のメニューを通じて、言葉にできない「甘くて苦い過去」と静かに向き合う、2000文字の叙情的な傑作短編ドラマ。
人の絆、想い、言葉では説明できない心の機微を感じたい読者様は是非一度お読みいただければと思います。
おすすめいたします。