第1話の掴みが完璧だ。
「副長、起きてください」「起きている」「寝息が聞こえました」「深い考え事だ」——このやり取りだけで、副長・神谷レイという人物の全てが伝わる。軍人なのに居眠り、軽口を叩きながらも冗談と仕事はきっちり切り替える。このキャラクターが一話の間ずっと気持ちよく動き続ける。
艦長の田中マサト少佐も素晴らしい。現れた瞬間に状況を把握し、「助けるぞ」の一言だけで艦橋の空気を決める。説明過多にならず、行動で人物を語る書き方が上手い。
そして何より、体当たりの決断だ。撃てない、援軍も間に合わない——追い詰められた中でレイが絞り出す「体当たりを進言します」という言葉の重さ。古くて小さい哨戒艦が、それでも民間人を守るために全力で動く場面に、思わず前のめりになった。
宇宙ミリタリーSFでこれほど人間の熱量を感じさせる第1話は久しぶりだ。