生まれ変わったら何をしよう
Pankozou
第1話 何もない人生
三原空には何もなかった。
小さいときは友達と一緒に公園で遊んだり、両親と旅行に行ったりもした。
あの頃は、ただ無邪気に遊んで楽しかったと思えた。
そんな時期もあって良かったと思う。
だけど、それも病気で寝たきりになるまでだった。
5歳の誕生日の前日12月23日、僕は家で倒れた。
原因は、かかったら10年も生きれないと言われる難病。
なんでも、心臓から見えない『何か』が血管を通って、体の細胞をズタズタにするらしい。時間が立つと、だんだんと動けなくなっていって死ぬそうだ。
生きて治った患者はおらず、みんな10年以内に死んでしまったらしい。
本当に突然で、両親も僕も、病院で診断されるまではとても信じられなかった。
その日から、僕の闘病生活が始まった。初めの頃は、いつかは治るんじゃないかと信じていろんな薬を飲んだり、医者に勧められた手術なんかもした。
しかし、そんなことで治るほどこの病気は甘くなかった。
たくさんの薬を飲んで、見えない『何か』を殺そうとしても、全く効果が出なかった。
手術をして、直接血管から『何か』を取り出そうとしても、触ることすらできなかった。
もう、僕の体は治らないと感じた。
次第に、僕は治す努力をやめてしまった。
なんで僕がなったんだろう、どうして死ななきゃならないんだと思う。
でも、時間が立つにつれて、そんなことは思わなくなり、だんだん死を受け入れる様になった。
それからは、暇な時間にネットで面白そうな本や動画を探して見るような生活が続いた。
特に、ファンタジー小説なんかをよく見ていた。
自分にはできないことを成し遂げていくかっこいい主人公に憧れていたんだと思う。
こんなかっこいい主人公になりたい、と妄想をふくらませることも。
いろんなジャンルを見てきたけど、ホラー物は苦手だったな。
そんな生活を続けて9年ほど。
もうすぐ15歳の誕生日。
それは病気にかかってから10年近く経つことを意味していた。
体はだんだん動かなくなっていき、体力もなくなり、体はやせ細っていくばかり。
刻々と日は過ぎ、生きることを諦めていても、もうすぐ死ぬのかと少し怖くなっていた。
そして、今日は誕生日の前日。
明日は来ないんじゃないか、
そう思うと、気が重くなる。
時間は過ぎていき、気づけば23時。
あと1時間で日は変わる。
しかし、もう誕生日を迎えることはないだろう。
いつもより意識が曖昧だったからだ。
隣りにいる両親や、その周りの慌ただしい医者や看護師の声も聞こえなくなっていく。
ああ、もう死ぬんだ。
そう思い、人生を振り返る。
本当に何もない人生だ。
こんな何もない人生で終わるのは嫌だな、と思うと、頭の中でこんな声が聞こえた。
[もしも生まれ変わったら?]
そうだな、もしも生まれ変わったら、やりたいことを何でもできるようになりたいな。
「昔読んだ物語の主人公みたいに」
その言葉を最後に、僕の人生は終わった。
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