地球人類と異星種族の戦争、その最中に禁じられた恋をしていた幹男と理香。
最初は、宇宙船〈リマーカブル〉で繰り広げられる二人のやりとりや、そこに水を差してくるロボットAKIの存在が、どこかコミカルで楽しく感じられました。
戦争中でありながら、二人の会話には生活感があり、じゃれ合うような空気があり、だからこそ「戦争が終わったら結婚しよう」という願いが、とても切実に響きました。
けれど読み進めるうちに、私には、この物語が単なるロボットとの恋愛にとどまらないものとして読めました。
記憶が消えることは、その存在がいなくなることと同じなのか。
姿や身体が変わっても、記憶が残っていれば、その人はそこにいると言えるのか。
この問いが、幹男、理香、AKI、そしてRK-2へと受け継がれていく流れが、とても印象的でした。
特に胸に残ったのは、失われたものを、ただ諦めるのではなく、もう一度取り戻そうとする執着です。
それは危うくもあり、痛ましくもあり、けれど同時に、とても人間らしい愛の形でもあるように感じました。
たとえ相手がロボットであっても、そこに積み重なった記憶があるなら、それはもう「ただの機械」ではない。
そんなふうに思わせてくれるところに、この作品ならではの強さがあると思います。
終盤に向かうほど、物語は個人の恋愛から、もっと大きな時間と存在の物語へ広がっていきます。
それでも中心にあるのは、互いを求め続ける二人の想いで、その構成も印象的でした。
メカメカしくて、少しおかしくて、けれど最後には壮大な神話のようにも感じられる作品でした。
記憶が、愛を何度でも生まれ直させる。
そんな奇妙で、切なくて、どこか神話めいた余韻が残る作品でした。