第10話

 薬師ギルドの階級も上がってまた新しく作れる様になった薬品の種類が増えて、多くの様々な薬品を大量に作っている今日この頃、今日の薬師ギルドは大忙しだった。


 薬師ギルドに呼び出されることになって向かった薬師ギルドの中に入ると、薬師ギルドの会員たちの姿がそこには多くあった。


 俺は近くの薬師ギルドの会員の人に聞いてみることにした。


 「すいません。何があったか聞いてますか?俺は呼び出されたんで来たんですけど。」


 「俺もさっき来たんだがな。どうも隣町で大規模な流行り病が起きたらしい。」


 「えっ!」


 どんな病気なのかは分からないがそんな大規模な流行り病なら感染症の可能性が高い。


 「それなら俺たちが呼び出されたのは流行り病に効果のある薬品を作る為なんですかね?」


 「多分そうだろう。どの様な病が流行っているのかがもう分かってるってことだ。まあ、お互い頑張って薬を作って行こうぜ。」


 「そうですね。頑張りましょう。」


 そうやって話をしている間に薬師ギルドの職員たちは準備が終わった様で発表がされた。


 「聞いている者もいると思うが隣町で大規模な流行り病が起きた。薬師ギルド全体で隣町に送る薬品とこの街でも流行り病が起きた時の為の薬品を作る。それぞれ階級を呼ぶからその時になんの薬品を作るのかを聞く様に。まずはA級からだ。」


 それぞれの階級が呼ばれて階級ごとに作る薬品のレシピを渡される中でようやくD級の会員たちが呼ばれることになる。


 D級に説明をするのはレイナさんの様だ。


 「D級の者は栄養剤を作って貰うことになる。作成に使う素材は全部薬師ギルドが持つ。また栄養剤のレシピを渡すので渡された栄養剤の作成をお願いします。」


 レイナさんからそれぞれD級の会員たちは栄養剤のレシピを渡されていく。


 俺もレイナさんから栄養剤のレシピを渡され、渡された栄養剤のレシピを確認すると俺が持っているレシピと同じ内容の栄養剤のレシピだった。


 このレシピで作る栄養剤は俺も何度も作っているので栄養剤を作るのに問題はないだろう。


 「調合室の扉にD級と書かれた調合室をお使いください。その調合室に栄養剤の素材が運ばれて来ますので、それでは調合室は当分は無料で使えますので栄養剤の方はよろしくお願いします。」


 D級会員たちが去るのに合わせて俺も移動を開始した。


 「ここだな。」


 使用されていない調合室の扉にはD級とだけ書かれた紙が貼られていた。


 そんな調合室の中に入ればテーブルの1つの上にドンと栄養剤の素材が入った木箱が置かれていた。


 「素材もちゃんとあるな。じゃあ作り始めますか。」


 栄養剤に使う道具の準備を始めた。


 道具の準備が終わるとまずは栄養剤を長く保存出来るように薬液の準備から始めた。


 栄養剤が腐らない様にする為に雑菌が繁殖せずに済む薬液の作成を行なっていく。


 数種類の薬草と毒草を細かく切り刻んでから薬研ですり潰す。それもペースト状になるまで。


 そうしてすり潰した薬草と毒草のペーストに魔力たっぷりの魔力水へと入れて掻き混ぜる。


 5分起きに掻き混ぜる必要があるから魔道具を使って5分経ったら音が鳴るようにすると俺は別の作業を行なっていく。


 薬品の保存液が出来上がるまでに栄養剤の素を作っていく。


 薬草数種類、香草、柑橘類、塩、砂糖、魔力水、魔石と栄養剤の素になる素材の準備は出来た。


 魔力水に下処理のした香草と塩と砂糖を入れて鍋に火を掛けて沸騰しない温度で茹でる。


 香草を茹でている間に魔石を粒状に潰して薬草数種類を葉脈に亀裂を入れた同じ様な下処理を行なってから魔石と薬草を鍋の中へ。


 そのまま香草と薬草を茹でている間に次は柑橘類の皮剥き、特に薄皮まで剥いた時に白い部分も含めて取り除く。


 柑橘類の可食部だけを別に置いて、取り除いた皮や薄皮に白い筋を薬研でペースト状になるまですり潰す。


 この作業は大変だがきちんとペーストになるまですり潰すと、鍋を火から取り除いて鍋の中の香草と薬草を取り除く。


 可食部以外の柑橘類のペーストをまだ暖かな鍋の中に投入してゆっくりと掻き混ぜる。


 鍋の中の液体が人肌よりも冷たくなって来るまで掻き混ぜると、そこで鍋の中の液体を別の容器に入れる。


 その際に柑橘類のペーストや香草と薬草と魔石の滓が入り込まないように漉しながら容器に入れていく。


 別容器に移し替えた液体を冷蔵用の魔道具で液体を冷やしていく。


 冷やしている間に柑橘類の可食部を潰して中の果汁を搾り取ると、冷やし終わった液体に柑橘類の果汁を入れて掻き混ぜる。


 保存液と栄養剤の素の2つの液体を保存液が4、栄養剤の素が6の割合で混ぜることで、このレシピの栄養剤は完成した。


 「まずは1本。見た感じ品質もそこまで悪い物ではないな。よし、ここからだ!」


 まず1本の栄養剤を作った俺はここから複数本分の栄養剤を作り始めていくことにした。


 まだまだある栄養剤の素材を丁寧に素早く下処理を行なっていく。


 そうして下処理を終えた素材を加工して栄養剤に変えていくのだが数が多くて、木箱の中の素材が2回尽きる頃にはへとへとになっていた。


 「追加です!こちらは持って行きますね!」


 「あ〜はい。分かりました。」


 3回目の木箱が置かれてしまった。


 いい加減に疲れて来てしまったが、それでも作るしかない。


 いつもなら休憩しながらやっているのだが今日はほとんど作業が長くて休めていないのも疲れている理由だろう。


 「少し休む為にも保存液を先に作っちゃうか?」


 保存液をまとめて一気に10本分を作って掻き混ぜるだけの段階にすれば、その間だけでも休憩は出来る。


 そうすれば少しは休めるだろう。


 特に薬研ですり潰す作業で腕だけじゃなくて手も他の上半身も痛みがあるところがちらほらと出ているほど疲労している。


 下級回復ポーションをちょいちょい飲んだりして疲労の回復もしていたりもしているが疲労回復用の物ではないから効き目もそこそこだ。


 もういい加減にゆっくりと休みたいと思いながらも3箱目に突入する。


 それからこの日は最終的に4箱目分の栄養剤を作って終わったのだが、「明日からもまた来てください」なんて薬師ギルドの職員の人に言われてしまった。


 これから大規模な流行り病が治らない限りは当分はこうやって栄養剤作りばかりになるのだろうと思いながら宿屋の赤犬亭に帰るのだった。

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