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玉砕せず

玉砕せず

楠本ラリアット

おすすめレビュー

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★★★
★12
4人が評価しました
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本文ありのおすすめレビュー

  • 祐里
    1389件の
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    ★★★ Excellent!!!

    玉砕せずとも、心は死ぬ。

    確か、上野だったと思う。
    当時は濃い闇とむやみな明るさが溶け合えず、ただ雑多に混ざっているだけだった。
    駅付近の路上に、筵を敷いて座っている片足のない物乞いの男がいた。
    無関心な、もしくは無関心さを装う人々は、皆一様に視線をそらしていたのを記憶している。
    幼い私を連れた祖父もそうだった。

    暴力で解決するのは、戦争だから。
    暴力を振るうだけでは解決できなくなってからは、自らの命で。
    それが是とされた時代だ。
    玉砕せずとも、心は死ぬ。
    鴨下の命を現実につなぎ止めていたのは祖母の素麺か、はたまたレイテの赤土か。
    鴨下の、そして作者の問いかけに、私たちはいつまでも考え続けなければいけない。

    • 2026年7月28日 13:24