人知れず悩みに苦しむ人々の心の内の様に、明けない夜の世界をひた走る夜行列車ノクターン。
その列車には様々な苦悩を抱える乗客達が乗り込んで来る。一昔前の豪華な寝台列車の雰囲気たっぷりの車内を、売り子として働くリゼットが、そんな乗客達の応対する内に、それはコーヒーの苦みか、それともショコラの甘み故か、知らず乗客達の心は和らぎ、その口から語られる様々な事情。
やがて、静かに自らの運命に立ち向かうべく列車を降りて行く乗客達。でも、その度にリゼットの心はざわめいて。自らの抱える事情、それが何なのか思い出せないが故に。
静かに息衝くかの様なゆったりとした文章が、夜の世界を走り続ける列車のリズムと呼応するかのようで、とても心地良い時を過ごさせて頂きました。
もっと多くの人達に読んで頂きたく、今回レヴューさせて頂きました。
見逃すには余りに惜しい作品です。今一度言わせて頂きます。
‶どうか、この切なくも暖かい物語を見付けてあげて下さい。″