第2話「片方だけの靴」への応援コメント
‶何度も自分に聞かせてきた言葉。すり減って角が取れている。″の一文がとても印象的でした。
自分を誤魔化そうとして誤魔化し切れなくて、それでも使い続けてすっかり色褪せてしまった言葉。辛く悩んだ時間がその文章に集約されている様で、とても味わい深かったです。
何も出来る事が無い様に思われた。けれども自分のそれまで歩んで来た道のりが、仕立て屋としての手がその先に続く道を照らし出してくれた。仄かに希望の光の感じられる結末。とても沁みました。
今回も良いひと時を過ごさせて頂きました。有難う御座います。
第1話「行先のない切符」への応援コメント
素敵なお話でした。文章その物がまるで呼吸をしている様で、ゆっくり吸って、ゆっくり吐いて。その度に少しずつ紡がれて行く車内の情景が心地良く、少しの間静かに走り続ける列車の世界に入り込んだ様な感覚を味わわせて頂きました。
ひっそりと世界の狭間を走る列車の物語。静かに静かに続いて欲しい。そう思わずにいられない作品と感じました。
唯一つ違和感を覚えたのは、唐突に現われる三十年と云う語句。‶この鞄を背負って、この人は三十年の道を歩いてきたのだろう。″の下りですが、まだ何も開示されていないのになぜ三十年と云う年月と知れたのか。そこだけが少し引っ掛かった所です。まあ、細かい事です。不都合であれば忘れて頂ければ、と思います。
何はともあれ、素晴らしい作品である事に変わりは無く、これからも読み継いでいきたいと思わせる物語でした。
読ませて頂き有難う御座います。
第4話「あたたかいもの」への応援コメント
どのエピソードも完全なハッピーエンドではなくて、何処か苦みを残した結末ですが、今回は特に苦みの勝った結末でしたね。
状況が変わったわけでも良くなったわけでもない。むしろビターと言っていい結末なのに、何処かほんのりと温かいものが残る。不思議な読後感でした。
平穏な生活に戻っても、身体に染み付いた戦争の記憶が消えてくれない。未だ後遺症に苦しむイヴさんに、思い出の人形は何を届けてくれたのでしょうか。
何時か人形がイヴさんを、その時確かにあった穏やかな日常へと導いてくれるのかも知れない。そんな淡い期待を残す仄かに明るい、拙くも確かな希望を感じさせるお話でした。こういう結末もまた良い物ですね。
読ませて下さり有難う御座います。