何か大きな事件が起こるわけでもなく、ただ静かに時が過ぎるかのように、淡々と物語は進んでいきます。
しかし、その平穏な時間のなかで映し出されるのは、あまりにも美しく情緒あふれる、彩り豊かな景色たち。その色彩が、不意に胸をじんわりと温めてくれます。
旅人が見た景色を、私もこの目で追いかけたくなりました。
誰かの胸に灯った憧れが、次の誰かの憧れへと連なり、紡がれた軌跡がまた新たな旅人の道標となって、長い時を越えて受け継がれていく。
未知に憧れ、何気ない景色に心を震わせ、時を超えて誰かの想いを受け継ぐことができるのは、私たち人間にだけ許された、最高に愛おしいロマンではないでしょうか。
静かな時間のなかで、人生の豊かさに触れられるような、本当に素晴らしい作品に出会えました。