第2話 痣を持つ者
丘を越えるとモンスターの姿が見えたのでサッと隠れる
でも昔に比べたら少なくなった方だ。
数を減らしたから繁殖が盛んじゃなくなったらしい………
タタタタタ…………
後ろから走っているような音がした。
「おーい!おーーいってばー」
振り返るとすごい形相のあいつがいた………。村のはずれの猟師の娘……。
僕と昔は仲が良かった……
「びっくりした…。何だよコトン」
ザー………ザー……
僕の顔をじっくりと見る
「なんで私に言わないで出ていくわけ?」
ザー……ザー………
コトンが僕が俯いていると
「あんたのお父さんから聞いたの、あんたが村を出たって。あの掟の話?」
コトンが僕の首を見る。
「そ、厄災を起こすもの……僕が?そんなバカな話あると思う?」
コトンは奇妙な痣をじっくりと見ている
「そりゃあないね。だってあんた弱いもん」
……悪かったな
ザーザー……
僕はコトンが濡れないように木の下へ案内した
「それだったらさ、私も連れてってよ」
ザー……ザザー……
コトンの目は一回も泳がなかった。それとも泳ぐことを知らないのか
ザー……ザー……
「……っ。別にいいけどさあ……」
コトンの張り詰めていた表情が緩くなる
「ありがとう!村大会魔法部門一位の私に任せてよ!」
え……。僕村大会剣士部門五位……てか最下位……。
「すごいね……。猟師の仕事は?お前の父さん母さんに任せていいの?大変なんでしょ?」
コトンが鼻先まで詰め寄ってくる
「そう!そうなの!すっごい大変!なのに、村長とあんた以外感謝しないのよ?それが当たり前だって顔しやがって!!」
あの村、そういうところあるよなー。まじで頭でっかりばっかだしね……
ザーザー……ザザー……
コトンは怒りを抑えて、湿っぽい声を出す
「まあ、あの掟。本当だね」
「そうだね……」
ザー………ポツ……ポツ……
「雨、止むじゃん。コトン、痣でたの?」
コトンは小さく頷く
「うん。この村から厄災を起こすものが出て来るのも知ってたけど、私の代かーって」
コトン。何でお前知ってんの?
「教えて?コトンが知ってる全部!」
僕はコトンにがっつく
「鬱陶しい!あーもう、疲れた!落ち着けるところに行きましょう」
少し焦ったかったが了承した。
落ち着ける場所を見つけた頃には夕方だった。
パチ……パチパチ……
僕はコトンが落ち着いたことを確認して問い詰める
「それで、コトン。どういうこと?厄災は昔にやっぱりあったの?何でコトンは知ってるの?この奇妙な痣は何なの?」
呆れたような目で見られる。
「そんな多く私も知らないわよ!痣発生はよくわかんない。でも痣は引き継がれるっこと」
パチ……パチパチ……
僕はとびっきりワクワクを込めて言う
「じゃあ、僕は英雄様みたいになれるの?」
「そう言うわけじゃないわ。厄災を起こすもの……。そこら辺はわからない。だって、私たちが生まれた頃にはアイツがいるもの」
僕らはずっと北の方を見る。父さんが生まれる前から居たアイツ……。魔物が誕生した元凶。魔王……。直接手は下さない。家畜や食糧難に至らせ、駆逐していく作戦らしい。
パチパチパチ……………
コトンはドス黒い不穏な空気を運んでくる北の城睨む
「今さ、魔王はこう言ってる」
ーああ、遂に来た。痣持ちが目覚めた。この世界に六つ痣をもつに相応しい魂が。
ああ、私は待っている。聞こえているのだろう?コトン、リト。
君たちを待っていた。
ああ、私を殺して見せろ。そして平和とやらを見せてみろ。
ああ、楽しみなり。ああ、我が滅んでいくなり。
偽りの英雄は全て殺した。助けて見せろ、この広い世界をたった六つの魂だけでー
寒気が走る、一瞬世界で僕だけになったような吸い込まれるドスのきいた黒い声。
何もかも奪われたように感じた。
おかしい、おかしい。何で殺して欲しいんだ?わからない、わからない。
「リト!リト!」
倒れていたのかコトンが懸命に声をかけてくれる
「だ、大丈夫……」
「あんた、こんくらいで飲まれてたらやばいよ」
お前がやばいと思う。
………パチパチ……パチ
「コトンって痣どこにあんの?」
コトンが一気に不満そうな顔になる
「あんたそれ聞いちゃう?えっち……」
パチ………パチ……
コトンは顔を緩めた
「あんたのお母さん。痣あったよ。痣は祝福であり呪いである。」
「え?」
すると即座に眠ってしまった
パチ……パチ……
母さん。僕も母さんみたいに早くに亡くなってしまうのかな……
祝福であり、呪いである……
怖いな。やだな。帰りたい。
僕に燻っている火はあるのかな?
どうせ、痣が無くたって、こんな世界でも無くても
僕は弱虫だ……
………パチ…
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