縁起がよさが縁となって全ては始まった。縁起でもないことを裏では懇願する男、と出会った化ける物のはなし。そう一言で言ってしまえたら楽だったのに。
例えば、「美味しそう(に見える/見えた)」瞬間を頂(いただき)とした時、一度その域に踏み入れて、もうそれ以上を望むことがなくなったら? 美味しさ(食欲)と併存する(化ける物にとってそう見做される)、生への執着だけを求めていたのに、突然、その味がしなくなったら?
不思議だ。食ってやる、となぜだか湧いてくる思いがあることが不思議だ。だのに、反発する食えなさと、(名で無いはずの言葉で)呼ばれて許されるかのような思いに、気づく。(もう居ない)誰かと食を囲うことの尊さ、その時間を価値づけていた存在に、気づく。胸が熱くなる。本当に、食べたかったもの(美味いと思えるもの)に出会えるのは、夢のまた夢だと、気づく(男の辞世の句とも重なるようで)。昨年に引き続き、企画へのご参加ありがとうございました!