異世界転生・転移ものを読み慣れた人ほど刺さる一作です。
視点はまさかの「異世界の現地住民側」。
次々と現れるチート持ちの転生者たちに押され、気がつけば純粋な住民がほとんどいなくなってしまった世界で開かれる極秘会議。
「また魔王が倒された」「どこの魔王?」なんて会話から始まり、転生者への不満や警戒が飛び交う様子は、異世界転生ジャンルのお約束を見事に逆方向から料理したもの。
笑いの中に鋭い風刺が光ります。
さらに終盤、とある“真相”が明らかになった瞬間には思わずニヤリ。
最後まで楽しめる仕掛けが施されており、読後感も抜群です。
異世界転生ものへの深い愛と観察眼が光る快作、異世界が好きな方にはもちろん、ひと味違った異世界ものを読みたい方にもおすすめです!
既に飽きるほど出回っている異世界転生・転移・憑依のエピソード。
とある『異世界』では、石を投げれば、当たった人間、動物は勿論、道具や衣服、果てはその投げた石すら異世界から来た某かも……と、疑わなきゃならないほどの侵食を見せていた!
かくして生粋の『異世界』人有志は、地元民と形勢を逆転するに至った転生・転移・憑依の猛威を憂慮し、ここに前代未聞の対策会議が開会されたのだが——!?
それぞれの立場での止むを得ない事情が浮かび上がるばかりか、まさかの事実がひっそりと現れるラストに、あなたはきっと大きく頷くはず!
ファンタジーを書くのが稀有な作者だからこその、シニカルな視点が楽しめる本作。
是非に!
本当に色々と考えさせられる、世知辛さ120%な作品でした。
舞台はとある異世界。
異世界とはすなわち「特殊なチート能力や性質を持つ転移者や転生者」で溢れかえってしまっている場所。
そこで「欲望をいくらでも満たせる才能」の持ち主たちが大量に流入したため、あちこちで魔王が倒されたりハーレムが形成されたり、「転移者」たちによって世の中が搾り取られていく構図ができあがってしまっている。
そんな圧迫感を解消すべく会議が開かれることになるが、「転移者ではない元々の住民」はあとどれくらい残っているのか、という問題が。
そして会議が進む中で、会議の参加者の中にはある想いが去来することに……。
異世界ストーリーの飽和問題。この圧倒的な数の多さ。そうしたストーリーの数々がもしも一個の世界に凝縮されていたら。
「外から来たチートな存在」に利益をかすめ取られて言ったら、元々のその世界の住人たちはやっていられないといのも当然。
そんなディストピア化した異世界の「とある一ページ」を描いた作品。身に詰まされる要素も多くて何度も頬が緩みました。