第53話 激動の時代 *純*

 デートとはこんなものでいいのだろうか?


 ただ手を繋ぎ、神社まで歩き、ここで式を挙げるんだ~とかしゃべるくらい。世の男女はどうしてんだ?


 朝食の時間までに戻って来て、仁井家の方々に混ざって朝をいただいた。


「お義父さん」


 と、もう呼んでいいのだろうか? わからないが、宏子さんの父親の名前がわからないのです。どうしよう?


「どうしたい?」


 なんか友好的すぎてどう接していいかわからない。


「これからしばらく友人の家の稲刈りに入ります。四日か五日はこちらに来れなくなると思います」


「米沢の友人かい?」


「はい」


「そうか。宏子。お前も手伝いに行ってあげなさい。泊まりで構わないから」


「はい。わかりました」


 え? 承諾しちゃったよ!


「気を付けてな」


 んでもって決まっちゃったよ!


「い、いいんですか? 結婚前に……」


 なんか結婚前に泊まりとかよろしくないとかなんとか聞いたことがあるよ! ふ、不純異性好意になるんじゃないの?!


「アハハ。構わん構わん。君と宏子は結婚するんだから。もう夫婦のようなものだ」


 そ、そうなんだろうか? そういうのが厳しそうな家に見えるんだが……。


「そうよ。気にしなくていいのよ」


 お義母さんまで積極的だ。お祖父さんもお祖母さんもニッコニコだ。もっと威厳とかに満ちていると思ったのは偏見だったのだろうか?


「宏子。しっかり純さんの役に立つのよ」


「わかった」


 宏子さんは気にせずご飯をパクパク食べている。そんな古風な考えでいいのだろうか?


「そう言えば、仁井家は米をやっているんですか?」


 お義父さんもお義兄さんも背広姿だ。会社員なのか?


「父の代で辞めたよ。そう大きな畑でもなかったしな。わたしの代で物流会社を興したよ。六哉くんは、市役所で働いているよ。まあ、修行中だな」


「時代は変わっているのですね」


 昔は、米で儲けていたのに今は業種を変えている。世はもっと変わっていくんだろうな~。


「純くんは、どこで働いていたんだい?」


「高校を出てから県庁で働いてました。人間関係で脱落してしまいましたが」


「県庁とは凄い」


「そう、なんですかね? 先生に言われるがまま受けましたから」


 もっと考えるんだったと後悔しかないよ。


「オレは体を動かす仕事のほうが向いていたでしょうね。トラックの運転手もいいな~って感じます。これからの日本は自動車や輸送が本格化するみたいですから」


 どんどん道はよくなり輸送が盛んになると三月は言っていた。いろんな町に行ってみたかったよ。


「……本格化するか……」


「そうみたいですね。あ、なにかオイルショックとかが起こるとも言ってましたね。中東のほうの戦争で石油が入って来なくなったとかで、ちり紙、トイレットペーパーが買い占められたそうですよ」


 三月も生まれる前のことでうろ覚えだったっけ。未来過ぎてオレにはぴんと来ないよ。


「ほぉう。未来から来たとは聞いてたが、六十年後の日本はそんなに大変なのか」


「平和なのは平和みたいですけど、どうも昭和は激動な時代のようですよ。国鉄も民営化したり、地震台風をたくさん乗り越えたみたいですね」


「国鉄が民営化? そんなことがありえるのか!?」


「あったみたいですね。自動車が増え、道がよくなり、汽車を使うのも減ってきたとか。三月も高校生だったのでサラッとしか知らないようですが」


 オレにはついて行けない時代なんだろうな。どうせ辛いなら異世界で辛いほうがいいや。


「三月くんとはいろいろ話してみたいものだ」


「はい。よくしてやってください。いろいろ破天荒なことをするとはおもいますが」


 歴史改編しない程度なら好き勝手して構わんだろうとか言ってしまうヤツだからな。誰か後ろ盾がないとなにするかわからんよ。


「あたな、そろそろ」


「あ、ああ、そうだな。じゃあ、またな、純くん」


「はい。いってらっしゃい」


 お義父さんとお義兄さんが出て行き、片付けを終えた宏子さんを連れて良二のところに転移した。

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