第47話 新居 *三月*

 純と宏子さんの新居が完成。と言っても家を建てたわけじゃない。異空間に部屋を創り出したのだ。


 鍵で入れる仕様にし、魔力で維持するものだ。


 まあ、ライフラインが繋がっているわけじゃないんで、水は補給し、排泄物は乾燥させて外にポイしてもらう必要はあるがな。それでも野宿するよりはマシだろう。


 純一人ならそこら辺で野宿しろと言い捨てるが、さすがに嫁さんに野宿しろとは言えない。オレもそこまで鬼にはなれなかったよ。


 ちなみに仲間同士での旅はサバイバルすぎて気を使うとかしている余裕もなかった。もう汚すぎて欲情とかも死んでいたよ。毎日命懸けでもあったしな。


 新居ハウスの中で使うものは二人に任せよう。二人の家なんだ、中身までオレに揃えられたくはないだろうよ。


「これが異世界にも通じたらよかったんだがな~」


 異空間にも壁があるのか、異世界の空間とこちらの空間が通じないのだ。


 まあ、使うのは純たちなので不便はないだろう。新婚夫婦の中入ることもないんだからな。


「昭和時代でも異空間を創っておくか」


 土地を買うのも面倒だし、なんか税金がかかるっぽい。そういう面倒なことは初田さんがやってくれるとは言え、だからっておんぶにだっこにもいかんだろう。


 土地は後々面倒にならないだけにして、他は異空間を創るとしよう。維持出来るだけの魔石はあるんだからな。平成までは余裕で保てるだろうよ。


「どんなものにしようかね~?」


 まあ、とりあえず、三十畳くらいの広さを確保しておくか。荷物を入れておきたいからな。


「食料庫も創っておくか」


 時間停止の付与は魔力を結構使うが、食料はいくらあっても困らないしよ。


 なんてやってたら時間が過ぎるばかりだな。ちょっとずつやっていくことにしよう。


「お、純。久しぶり。友達か?」


 異空間から出て来ると、純と体格のいい男がいた。


「ああ、仙台で暮らしている野川定治だ。定治、こいつが相原三月だ。新しくオレになる男だ」


「意味のわからないことで悪いね。純から聞いているかわからないが、オレはこの時代の人間じゃないから戸籍とかないんだよね。存在の交換だ。定治くんからしたら納得出来ないだろうか、純は純。オレはオレで構わないよ。普通に三月と呼んでくれて構わないから」


 友達が変わりました~とか言っても納得出来んだろうからな。普段は気にせず三月と呼んでくれ、だ。


「わ、わかりました」


「理解してくれてありがとう。なにかあればオレに相談してくれ。純の友達なら力になるからさ」


 純の大切な友人だ。もし、純が帰って来たときにいなくなっていたら可哀想だからな。力になれることがあったら遠慮なく言ってくれだ。


「あ、ありがとうございます」


「純たちは、山形に行くのか?」


「ああ。良二のところと酒田にな」


「そうか。稲刈りもあるだろうが、宏子さんとのデートも蔑ろにするなよ。定治くん、こいつにデートの仕方かを教えてやってくれよ。仙台って、松島に近かったよな? 良二くん夫婦も連れてお泊まりデートでも計画してくれ。費用はオレが出すからさ」


 とりあえず、千円札の束を定治くんに渡した。収納の指輪に入れておけば盗まれることもないだろかいよ。


「こ、こんなにもらえないですよ!」


「それならオレが仙台に行ったときに案内してくれよ。その前金だと思ってくれ」


 両親の老後はオレが真っ当な手段で稼げば穏やかに最後を迎えられるだろう。てか、毎月入ってくるから真っ当かと言われたらナハハと笑うしかないがな。


「稲刈りもそろそろだから米沢を見ておくか。果物も有名らしいからな」


 今の果物でも異世界のものより断然上手くて甘い。冬も食えるように溜め込んでおかないと。


「純も果物は買っておけよ。あっちで甘い果物とかないからな」


「わかった。そうするよ」


 純たちを見送り、オレは米沢へと転移した。

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