第43話 報告 *純*
一度、山形に帰ることに。まあ、転移なので一瞬だ。
「純は友達に連絡を入れろ。竹治にはわしから伝えておく。久しぶりに米沢にも行ってみたいからな」
「わかりました」
学さんに繋いだ人でもあるから呼ばなくちゃならないのだろう。たぶん。
「オレは友人に声をかけて来ます」
友達と呼べるのは良二と定治だけ。定治とは連絡が取れないので、良二にお願いするとしよう。
要石は良二の家に置いてあるのでまたまた一瞬で移動。汽車やバスの乗り方を忘れてしまいそうだな……。
今は……昼前か。それなら待っているか。畑は家の周辺なので、昼には戻って来るだろうし。
「──おじ!」
と、良太が現れた。その後ろには良二の嫁の初子さん。昼の準備に戻って来たのか。
「こんにちは。良二はいますか?」
良太を掲げながら尋ねた。なんかすっかり気に入られてしまった。
「すぐ来ますんでどうぞ」
母屋のほうに通され、おじさんとおばさん、そして、祖父母さんが仕事から戻って来た。
「おう、いらっしゃい。また走って来たのか?」
「今日は別だ。良二に話があってな。忙しいならまた来るよ」
「忙しいのは忙しいが、刈り入れの準備だ。難しい話じゃないなら大丈夫だ、ぞ。まあ、昼がまだなら一緒に食ってけ」
と言うので昼をいただくことに。そしてなぜかオレが良太に食わせていた。まあ、いいんだけど。
昼食が終わり、お茶を飲みながらオレが結婚することを伝えた。
「なんか他人事だな」
「オレもまだ他人事に思っている」
「能己か。竹治さんから聞いたことはあるが、山形じゃかなり有名な家だな」
とは、良二の義父さん。米沢まで伝わっているんだ。
「竹治さんの伝手で知り合って、酒田の仁井家に行ったらなんか結婚することになった」
「仁井って、酒田でも有名な家じゃないか。竹治さんの奥さんの実家だったはずだ」
仁井家も有名なんかい。なんか怖くなってきたよ。そんな名家と関わるなんてよ。
「稲刈りが終わってからの結婚だと思う。学さんが仕切ってくれているんで、まだ日時は決まってない。酒田でやるようだが」
「稲刈りが終わったあとならオレは構わないぞ。酒田なら二、三回行ったことあるしな。ばーちゃんの実家が鶴岡だから」
「そうなんですか?」
「ああ、そうだよ。こっちに働きに来て、じいさんと結婚したんだよ」
「へー、そうなんだ」
「わたしも初めて聞いた」
良二と初子さんは初見だったらしい。まあ、祖父母の馴れ初めなんて聞かんわな……。
「移動は大丈夫だ。オレが送るから。仁井家でホテルも予約してくれるそうだ。良太も一緒で構わない」
オレの膝の上にいる良太を浮かばせて転がした。
「それはありがたいな。車で行くには遠いから。定治は呼ぶのか?」
「呼びたい。住所を知っていたら教えてくれ。直接お願いしに行くから」
バカなことをしたことも謝りたいし、断られたとしても最後に顔を見ておきたい。友達と呼べるヤツだから。
「そうか。年賀が届くから住所はわかる。ただ、仙台だからな。こっからだと遠いぞ。まあ、福島からなら近いだろうが」
仙台には行ったことはないが、東北本線だから迷う必要もないだろう。
「行ってみるよ。なにかあるなら届けるぞ」
「野菜でも送ってやるか。あいつ、一人暮らしだからな」
定治の父親は戦争で亡くなり、終戦後は母親の故郷、宮城に帰った。最後にあったのは良二の結婚式だ。
「定治、なんの仕事してたっけ?」
「土木会社、いや、輸送会社だった? 遠野って会社だったとはずだ」
年賀状の住所を書き移してもらった。
「ありがとな。仙台の名物ってなんだ? お土産買って来るよ」
「笹かまぼこってもんが有名らしい。魚の擂り身を笹の形にしたようだ」
へー。そんなものがあるんだ。三月にも買って帰るか。夜は親父と晩酌しているようだし。
良太を宥めたらうちに転移した。
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