目覚めたグレイスを襲ったのは、状況への戸惑いよりも抗いがたい喉の渇き。重い扉を軽々と開け、真夜中を昼のように見渡し、侍女の首筋に引き寄せられていく姿から、彼女がすでに人間ではないことが鮮明に伝わってきます。
吸血衝動に支配される場面は緊迫感がありますが、必死に暴れるグレイスの叫びには少しコミカルな勢いもあり、暗くなりすぎない読みやすさがありました。
そんな彼女を救うのは、黒いマントを翼に変えて現れる壮年の男性。「だから私と一緒にいるように言ったんだ」という言葉から、二人の間に特別な関係があることを予感させます。
なぜ王女は吸血鬼になったのか。そして、彼女が「おじさま」と呼ぶ男性は何者なのか。危険な覚醒と頼もしい救出劇から始まる、続きが気になる吸血鬼ファンタジーです。